好きだ、と感じたのはいつの話だろう。思い出したくて赤司を探して聞いてみれば、中学一年の時、彼女がバスケ部のマネージャーになった時だろう、一目惚れだったじゃないか、と。今更何を言うんだと不審な顔をしながらしっかりと答えをくれた。そうかそうかと赤司と離れた廊下でひしと感じた。綺麗な黒髪を揺らして、可愛らしい声で、よろしくお願いしますと言った彼女を、俺は一目で好きになったんだ。ごくりと生唾を飲んで美味しそうと呟いたのを今思い出した。時あれば彼女を目で追い、赤司や緑間によく怒られたものだ。青峰に辱しめもなく、お前あいつが好きなのかと言われた時は何故か胸を包むような嬉しさと恥ずかしさがあった。多分その時が自分で恋をしてると気付いた時。自覚してからはみんなに迷惑をかけた。とんでもないことに自制心が効かなくなったからだ。一つに束ねられた髪の彼女の首筋から垂れる汗さえ艶やかに厭らしく見え、飲み物を渡す小さな華奢な手さえ噛みつきたいほどの欲求にかられた。いつか爆発すると思って覚悟はしてた。俺が負けたのは嫉妬という名の殺意。我慢出来なかった、俺のものになればいいと思った。そう気付いた時には彼女に噛みついていた。彼女の首筋には今もあの時の噛み痕が残っている。そう考えただけでゾクリとした。ああ、目の前から彼女が歩いてくる。俺は確かめるように彼女を見つめた。その長かった黒髪は短く切られ、あの噛み痕は隠すように絆創膏が貼ってある。あれから彼女は俺を見ようともしない。


一人の時のあなた
ただ君が好きだった


2013??~20140607



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