「あ、それ私にも一口」


紫色した頭の背の高いその人が、手にしていたお菓子を横取る様に口に含めば、口の中に甘味が広がった。取られた張本人紫原は余り悔し気もなく、あー、と声を漏らした。


「なに、これ?」
「みねちんがくれたー」
「あんたの為に?」
「まずいって」
「…ああ、なるほど。確かに美味しくはない」


キセキの世代は特別仲が良いわけではなかったが、特別仲が悪いわけでもなかった。まあ日本語を喋る程度ぐらいには話してたと思う。後部活中ぐらい。そんな関係な人がお菓子くれるとかましてや青峰くんとか、明日は槍でも降るかと思ったけどそれはないみたい。


「にしても口に残る味」
「最後のだったのにー」
「いいじゃないちょっとくら」
「もーらい」


そう言って、噛み付くようにされたキスに、私は目をかっぴらいて、その目に紫を見ていた。


おいしそう
(飴みたいな、色)



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