「えっ」


ビーッと耳をつんざく様な試合終了の笛が鳴る。帝光の得点は104。帝光に居ればそんな得点当たり前になったんだけれど、驚くべきはその半分以上を青峰くんが入れたということだ。

どうしよう、逃げたい。


「おい」
「ななななんでしょう」


目の前にドスを聞かせて、汗だくで、その大きな身体で私を見下す青峰くんがいるのを私は知っている。けれど頭をあげて彼の目を見れないのは人間の本能ってやつで。


「30、入れたぜ?」
「お疲れさまです…」


きっとドヤ顔でいう青峰くんの顔を私はまだ見れていない。

今日のノルマは一人シュート15本。赤司くんは私の言うことを聞いてくれたのだ。ほんとはいつも5か10のノルマ、それを増やしたというのに、またそれを倍で越えたという青峰くんの執念に少しぞっとする。


「約束、守れよ」
「なななんのことでしょう……」


自分の顔が熱を持つのが分かった。

廊下でばったり会って、青峰くんまたサボり?なんて笑ったら急にあんなこと言い出したから私は思わず桃ちゃんのとこへ逃げたのに。

でも今は体育館だし、みんないるし、逃げられない。


「なまえ」
「ヒャアアアアアアア」


やっぱり逃げます。この後がどうなろうと。


さよならは純情
(青峰以外はノルマ未達成、練習3倍だからな)
(まじっスか?!)
(ありえないのだよ…)
(なまえてめえ待てコラァ!!)



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