ポニーテールにした髪が靡く、干した白いタオルが靡く、そんな帝光中の屋上。ざあ、と大きな風がふいた、刹那、白の隙間に見えた微かな青。
「青峰くん」
彼はすやすやと寝息をたてて寝ていた。いつも寄せている眉間の皺も今日はなく、少年として、小さな青峰大輝として、彼はそこにいた。
本当は部活の時間だから起こさなきゃいけないのだけれど、起こしたくないという私の小さなエゴ。
「かわいそうな子」
私はこてんと横に腰をおろした。今の言葉を彼はきっと聞いているだろうね、人一倍人に敏感な人だから。
「…あおみね、くん」
可哀想な、可哀想な、青峰くん。誰が彼にこんな才能を与えただろうか、誰がこんな才能を望んだだろうか。大好きなバスケを嫌いになる、才能を。
「もらってあげたい」
君がまた、あの少年の笑顔で、バスケをする時まで。
海底に沈む星
(いつかかがやくと信じて)