私の彼氏は、なんだか他の男の自慢話ばかりしてくる。まあ楽しそうに話すから嫌いではないのだけれど、私とデートしてる時よりもその男といる方が楽しいみたいでむかつくわけで。って友人に相談したら、簡潔な応えが返ってきた。


「…もう別れちゃえば?」
「えっ…」
「だってやじゃないの?自分といるよりそんな他の話しされてさ、しかも楽しそうなんでしょ?」
「え、あ、…うん、…そうなんだけど…」
「だけど?」
「…それが別れるには繋がらないような……」
「向こうも遠回しに別れたいって伝えてんじゃない?」


そう言った友人は発としたような顔をしてごめんと慌てて謝った。多分私が泣き出したからだろう。友人が心配してくれて言っているのは分かっている。分かっているけど、私は彼が好きなのだ。


「高尾くん」
「よー、なまえ!」
「今日も部活?」
「いいや今日は真ちゃんとデート」


語尾にハートでも付きそうなそんな口調で言った、私の彼氏、高尾和成は今日も自慢のお友達と遊びに行くらしい。


「楽しんできてね」
「おう!」


ほんとはそんなことちっとも思ってない。ひらひらと手を振る高尾くんを見送って私は帰りの路地へ出た。




「高尾、」


チャリアカーをこぐ俺の後ろで緑間が口を開く。緑間から声かけてくれるなんて珍しいと思いながら俺は返事をした。


「なに?」
「お前はいつか捨てられるぞ」
「なんの話し?」
「彼女の事なのだよ。いつも一人で帰っているのを知らないのか」
「なに真ちゃんなまえの心配してんの?」
「お前の心配をしているのだよ。人間いつも笑っているとは限らない」


緑間の言うことが、余り良く理解出来なかった。いや、したくなかっただけかも知れない。本当は気付いていた、彼女が俺の話しを快く聞いていない事を。笑って手を振る俺を寂しそうな目で見ている彼女の事を。


「言わないからと、甘えてはいないか高尾」
「………ごめん真ちゃん、行ってくる」


緑間に言われるのは少し勘に障ったが、全部緑間の言う通りだ。言わないから、言われないから、甘えてたのは俺だ。

一人寂しそうに歩く彼女を抱き締めるために、俺は彼女の名前を呼んだ。

くるりと振り返る彼女の顔が驚きに変わる。


つたわってください
(おもいもことばも)



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -