アサギシティ2




ん、んん…頬に生温い感じが…。


「ブイッ!ブイッ!!」

「イーブイが舐めてたのか…おはようイーブイ…。今何時だ…」


時計をみるともう13時。こんな時間まで寝ちゃってたの!?イーブイも起こしたくなるわ!

ポケモンセンターの部屋は安全の為、基本的にポケモンをボールから出してはいけない決まりになっているが、生後1ヶ月までのポケモンはボールから出して、一緒に寝て良いらしい。イーブイと一緒に寝れるのが幸せすぎて、つい寝過ごしちゃったのかも。



「起こしてくれてありがと。」
「ブイー!」

イーブイの頭を撫でるととても気持ち良さそうにして、可愛すぎて抱きしめた。


「んんー!イーブイ!今日はイーブイにとって初めてのジム戦だよ!もちろん、メインはメガニウムとデンリュウに頑張ってもらうけど、イーブイもいつでも戦えるように、準備しておくんだよ?」

「ブイッ!!」

「よし!いい返事!じゃぁすぐ仕度して行くよ!」













颯爽と支度をしてポケモンセンターを出る。アサギジムはーーーおっすぐそこだ!!!
と、ジムのドアから派手な赤髪が出てきた。シルバーだ!


「…………また、お前かよ。」



あれ?なんかデジャヴ?



「ジムリーダーなら、今は居ないぜ。」


「えっそうなの?いつ帰ってくるんだろう…。んーー…それまで、何しよう。」

「それなら、灯台でも行って、修行してきたらどうだ?少しは一人前のトレーナーに、なれるかもしれないぜ?」

「おおっ!いい案だね!そうする!シルバーありがと!シルバー、私の事ちゃんと考えてくれてるんだね!嬉しいっ!」

「べっ別に、お前の事考えてるわけじゃねえよ!」

「そんな事ないでしょ!シルバーったら〜素直じゃないなぁもうっ!」


発言に矛盾しているシルバーが、何だか可愛くて、シルバーのほっぺを小突いた。すると、シルバーの顔はまたまたオクタン顔に。ちょっとまずかったかな……





「……!!前から、思ってたが、お前、勘違いが酷すぎるんだよ。俺はお前の事なんか考えてないし、どーでもいいと思っている…!いつも現れては色々言ってきて、目障りでしょうがない。」



相当怒らせてしまった様だが、そこまで言われるとさすがに傷つく。シルバーがわたしの事嫌いなんて、分かってた。けど、違うのかもしれないってどこかで期待していた自分が馬鹿みたいで、涙が溢れてきた。




「そうだよねっ……しるばー…ほんと、ごめん。私、もうシルバーには近づかないように、するねっ。」

「ナマエっ、何泣きそうになってんだよ…!今のは、嘘だ。言い過ぎた…すまん。」

「いいの…そんな嘘付かなくても。…私の事嫌いなら、もうそうやって優しくしないで!」



そう。そうやってシルバーはいつも私に優しくして、だから勘違いしちゃうんじゃない。涙が堪え切れなくなって、その場にいるのが辛くなって、私はその場を走り出した。




「ナマエ!!!」


ガシっと腕を捕まれる。何で、なんで止めるのよ。もういい加減に、といいたいところだけど、声で大泣きしてしまっているのがばれるのも嫌だし、振り向く事さえ出来ない。




「…お前の事なんて、考えてないってゆうのは、本当に嘘だ。そうだな…最近だと、昨日の、夜…とか…」


「え…………?」


「聞くが、お前は、誰にでも泊まろうとか、知りたいだとか、言ってるわけじゃないん、だよな……?」



「いや………この前、ヒビキくんと、ポケセンに泊まったけど、それがどうか





したの?と、言い終える前に私の腕を強く握っていた手が離れた。



「さっさと行けよ。」

「え……」

「灯台にでも、さっさといけよ。ジムリーダーだが、弱ったポケモンの世話に灯台にいってるんだとよ。……フン、馬鹿馬鹿しい。弱ったポケモンなんか放っておけばいいんだ。戦えないポケモンに何の価値もないからな!」






どんどん足跡が遠くなり、私はその場に立ち残された。何を言う時も、シルバーの顔は見えなかったが、きっと物凄く怒っているように感じた。まあ、それも毎度の事。もう、よく分からない。何でこんなに胸が苦しくなるのだろう。もう、シルバーには本当に近寄らないようにしよう。そうするのが、一番なんだ。




ジムリーダーの弱ったポケモンも心配だし、早速灯台へ向かう。普通に歩いていると、どうしてもシルバーの事を考えてしまうので、今は修行に集中する。そう心に決めた。











灯台につくと、上に登れば登るほど沢山の人達に勝負を挑まれた。
私はいつも以上に勝負に集中していて、どんどん勝ち進む。メガニウムははなびらのまいを覚えて、デンリュウはほうでんやかみなりパンチを覚えてとても絶好調だ。

そして頂上に到着すると、苦しそうなデンリュウと、ジムリーダーであろう女の人を発見した。



「あなたは……?」

「初めまして!私、ナマエっていいます。デンリュウちゃん…苦しそうですね…私に何か出来る事、ないですか?」


「ナマエさん…お優しいのですね。この子はアカリちゃんってゆって、いつも灯台を明るく照らしてくれてるのです。でも、昨日から調子が悪いみたいで、タンバに凄い薬屋さんがあるみたいなんですけど、私、アカリちゃんの側を離れる訳にはいかないし……ナマエさん、買ってきて下さいますか?」

「そうなんですね…はい、買ってきます!できるだけすぐ戻ってきますね!!では!」

「えっ、あ、お願いしますね!」



早く、買ってこなくては!私は即座に灯台を後にした。









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