ハヤトさんと空旅
さあ、ここからまたエンジュまで戻って次はアサギシティに向かうのか。一旦戻った事でヒビキくんやシルバーとは大分差がでるだろう。まぁ、いっか!
としばらく歩いているとまたまた見覚えのある姿が。
「ハヤトさん!」
「おお!ナマエちゃん!また会えたね…………幸運だな…」
「はい?何かいいました?」
「いや、…会えて嬉しいよ。…ゴホッゴホッ」
「は、ハヤトさん大丈夫ですか!?」
何だか苦しそうなので、背中を摩ってあげた。
「…!ゴホッ!ゴホゴホッ!!だ、大丈夫だよ…もう大丈夫だから…!」
何か余計悪化してしまったような気がしなくも、ない…!
「会議が終わって、ちょうどピジョットに乗ってキキョウに帰ろうと思っていた所なんだが、ナマエちゃんはここからまた歩いてアサギシティまでいくのかな?」
「はい!少し大変ですけど、そらをとぶはまだ使えないですし、鳥ポケモンも仲間に出来てないので…。」
「そうなのか。……そうだ、良かったらアサギまで乗せていくが、どうだろうか?」
「えっ?いえ!そんな悪いです!ハヤトさんにも色々用事あると思いますし、とりポケモン乗った事ないので少し怖いかなーみたいな…。」
「いや、今日は会議の為にジムは閉めてあるから、特に様もないしな、僕が一緒についてるから、僕を信じてほしい。とりポケモンに乗って空を飛ぶのは、とても気持ちいいぞ。是非君にも味わってほしいしな、どうだろう?」
何だかハヤトさんが凄く頼もしい。とても頼りたくなるような、なんとゆうか男らしさを感じて少しドキッとしてしまった。
「じゃぁ、お願いしてもいいですか…?でも、エンジュまででお願いしたいです。自分の足でジョウトもカントーも一周したいので…我儘言ってごめんなさい!」
「いや、君らしくていいと思うよ。了解だ。ではピジョットに乗ってくれ。」
「ありがとうございます…!ピジョット、よろしくね。」
「ピジョー!!」
ハヤトさんのピジョットは、任せろといった感じで私が乗りやすいようにしゃがんでくれた。頼もしい大きな背中。本当にかっこよくて、美しい。ハヤトさんみたいだな。本当、ポケモンとトレーナーって似るんだな。
ビジョットのふかふかした大きな背中はとても安定感があって乗り心地は最高だ。私の後ろにハヤトさんも乗ってきて、後ろから手を周された。密着しているので緊張してとてもガチガチになってしまう。
「やはり怖いかな?緊張しているようだね。大丈夫か?」
「だ、大丈夫です!」
「そうか…僕が後ろに付いているから大丈夫だ。本当に怖くなったら降りるから言ってくれ。では、ピジョット、そらを飛ぶでエンジュまで頼んだぞ!」
「ピジョッ!」
ゆっくり少しずつ上昇し、空まで辿り着く。
風邪が気持ちよくて、夕方の今は丁度綺麗な夕陽が見え、とんでもなく素晴らしい景色だ。景色にしばらくずっと見とれていて、恐怖心や緊張感は忘れてしまっていた。
「どうかな?夕陽がとても綺麗だな。丁度いい時にと飛んだな…しかし、朝の風も夜の星空もなかなか素晴らしいものだ。是非ナマエちゃんにも見せてあげたいよ。」
「はい、とっても綺麗です。そらをとぶって素敵ですね。私も早くタンバジムでバッチをゲットして、好きな時に空を行き来したいなぁ。」
「とりポケモンにのって空を飛ぶ魅力が伝わって良かったよ。ピジョットに乗って、君とこの景色が見れている、なんて幸せだろう。これ以上の景色は見たことがない…本当、最高だ。」
私を包むハヤトさんの腕が少しキュッと強くなって、無駄にドキドキしてしまう。
「ハヤトさん、大袈裟ですよっ!!で、でも本当に素晴らしい景色ですね!本当に感謝です!!」
「す、すまん。今の発言はちょっと、あれだったかな。本当に、すまん!」
「ええ!なんで謝ってるんですか!?……あ、もうエンジュシティが見えてきた…!空を飛ぶと結構一瞬でつくんですね…!」
「ああ、あっとゆうまだったな。もう少し、こうやって君と空を飛んでいたかった……いや、すまん。何でもない……」
「え、えっと…どうしました?」
「おかしいな、僕は…。ピジョット!ここらへんで降下しよう。」
「ピジョッ!」
エンジュシティの手前の人気のない37番道路にに着地し、ピジョットから降りる。
「ハヤトさん、ピジョットもありがとうございました!」
「こちらこそありがとう。とても楽しかった。もう君にはしばらく会えないのか…。」
ハヤトさんはとても悲しそうな顔をしている。確かに、これから旅を続ける私とキキョウのジムリーダーのハヤトさんはもうずっとしばらく会えないのだろう。そう考えると寂しいな。てゆかこんな一般ピーポーの私にこんな色々してくれて悲しそうな顔をしてくれるハヤトさんってどんだけいい人なの!?!?
「僕は、やはり君の事が…………いや、君の事を、ナマエちゃんの旅を心から応援している。これから先君はもっともっと強くなるのだろう。しかし僕も次こそ君に負けるわけにはいかない。君に勝ってない僕にはまだなにも言う事が出来ない…。だから、君の旅が一段落したら、必ず僕にまた勝負を挑んできてほしい。」
「ハヤトさん!ありがとうございます!私、頑張るのでハヤトさんもこれから頑張ってくださいね!はい、また勝負して下さい!でも、負けませんからね!」
「ああ。では、またいつか!」
「はい、さようなら!お気をつけて!」
ピジョットにのり、キキョウに帰る。もちろん、先程の道を通っていくのだが、先程腕に感じていた彼女の温もりはなくて少し虚しい気持ちになる。
彼女は、本当にこれからどんどん強くなるのだろう。しかし、僕はそれに負けないように修行をもっと積んで、いつか彼女が僕に挑戦しにきてくれたら必ず勝って伝えるんだ…
君のことが、好きだ。
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