エンジュジム









エンジュジム到着。エンジュジムは、まさにお化け屋敷のよう。真っ暗でなにも見えなので、いきなり勝負をしかけられたり、気付いたら入り口に戻ってたりとマツバさんのところにたどり着いたのはエンジュジムに入った約3時間後だった。え、今何時?




「よく来たね。ずいぶん時間がかかったようだけど。」
「す、すみません!長い時間ずっと待たせてしまって…。」




そっか。私がたどり着くまでの約3時間、マツバさんはここで立ちっぱでまってたのか。どうしよ、辛。




「本当だよ。という事で、後で罰ゲームね。」
「えっ…それは、どんな罰ゲームですか?」
「…言わなきゃ分からない?」




マツバさんはちょっと怖い顔で笑っている。そりゃ怒るよね。どうしよう、どうしよう。反省やら焦りやらで私は涙がでそうになってきてしまった。



「ちょ、ナマエちゃん、そんな顔しないで。ごめんね。冗談だから。ちょっと意地悪したくなっちゃっただけで、僕は君の事ならいくらでも待っていられるよ。」




マツバさんはニコッと笑う。あまりにも綺麗な顔に見惚れてしまい、私は顔が真っ赤になってしまった。



「ふふ、ナマエちゃんは百面相だね。本当に可愛いけど、勝負は勝負。油断はしないからね。準備はいいかな?」
「は、はい!よろしくお願いします!」




私ったら、ジム戦に来たのに何をしてたんだろう。これじゃあトレーナー失格。マツバさんにだって、絶対負けないんだから!



「いけ!ベイリーフ!」
『ベイー!』




































マツバさんの最後のポケモンだというゲンガーが倒れ、マツバさんの手の中のボールの中に吸い込まれていった。私も今にも倒れそうなモココにお疲れ様、ありがとうと声をかけ、ボールに戻した。マツバさんはゴーストタイプの使い手で、ノーマルタイプの技やぶつり攻撃は効かないし、それだけでなく戦法やらなにやら全てが凄かった。私が勝てたのなんてギリギリで奇跡の中の奇跡。まだ、自分が勝ったということが信じられずに何も響かない空間がしばらく続いている。そんな中、マツバさんが口を開いた。



「…勝負の実力ではまだまだ負けていないはず。けれど、君にはそれだけではない何かが……。わかった、このバッチは君のものだよ。おめでとう、ナマエちゃん。」





マツバさんが、笑顔を向けながら私にバッチを差し出している。そっか、やっぱりそうだよね、私、マツバさんに勝ったんだ…!一気に嬉しさがこみ上げて来て、私はマツバさんの元へ走る、走る。そして、思いっきり抱きついた。



「マツバさん、ありがとうございました!すごく、すっごく嬉しいです!!」




そう言い放つも、マツバさんから返事は返ってこない。そこで私は理性を取り戻す。本能のまま抱きついてしまったけども、その相手はジムリーダーのマツバさんだ。しかも割と大人の方。毎度の事ながら反省するのに、この抱きつき癖は直りそうにない。さすがにまずかったよね、私は慌ててマツバさんから身を話そうとするが、何故かマツバさんは私の後ろに手をまわしてきて、離そうとしなかった。





「このまま、離さなくてもいい?」
「えっ…えっと、その、あの…。」




マツバさんのあまりにも予想外な一言に私は動揺して、どんどん声が消え入ってきた。すると、マツバさんの腕が緩んでマツバさんと顔が合う。顔がどんどん熱くなる。もう駄目、私、きっととんでもない顔をしているだろう。


「ごめんね、ナマエちゃん、あまりにも可愛いから意地悪したくなっちゃうんだよ。本当は離したくなかったけど。ナマエちゃん、今何時か知っているかい?」
「えっと…。」





ポケギアを見ると、もう夜中の3時だった。





「うっそおお!!!マツバさん、こんな遅い時間まで、本当にすみませんでした!」
「気にしないで。楽しいバトルが出来て良かったよ。ナマエちゃんも疲れたでしょ?今日は早くポケセンで部屋を借りて寝なね。また、会えるのを楽しみにしているよ。」



マツバさんは私の手をとってバッチを手のひらに収めてくれた。今日は心臓がなりっぱなしだ。




「私も楽しみにしています。ありがとうございました!」





私は深く頭を下げて、いつのまにか明るくなっているエンジュジムを楽々と出た。手のひらにあるバッチを眺める。マツバさんに勝った。つい顔がニヤッとしてしまう。バッチをバックの中にしまい、無事にポケセン到着。みんなを回復させて、部屋を借り、ぐっすり眠った。









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