エンジュシティ2



その建物、踊り場という場所に着くと舞台に舞妓さんとロケット団が立っていた。


「よぉよおー!そんなシンキくせー踊り踊ってねえでフラダンスでも見せてみろや!」
「‥あんさんそんなムチャをいうたらあきまへんえ。」
「あーん?お客様の注文がきけねーってのか!だったら俺がお手本を見せてやろうか?かれいな踊りのお手本を!どわーっはっはっは!」


ロケット団のしたっぱはへんてこな踊りを踊りだした。‥一体何がしたいんだろう。すると、舞台のお客さんらしい人が私達の元へ近寄って来た。


「あんた達トレーナーやろ?たのむわー舞妓さん助けたってえなー!」
「わ、分かりました!」


私は舞台に向かおうとするとヒビキくんに手で制された。


「ナマエはここで待ってて。僕が行く!」


ヒビキくんはそう言って一人で舞台に上がって行く。


「お前‥今すぐここから出ていけ!」
「はあん?何だお前俺のジャマするつもり?」




ロケット団とヒビキくんはポケモンバトルを始め、勝負はヒビキくんの圧勝。ロケット団は「これから大事な作戦があるんだった」とか言いながら、踊り場を出ていった。ヒビキくん、予想以上に強かったよ‥!
すると舞妓さんがヒビキくんに近寄っていった。


「あんさん、ヒビキはんでっしゃろ?」
「そうですけど‥。」
「ほんまにお見事どすなぁ。親切で強くてポケモンの育て方も上手。やはりあの方の人の見る目は間違いなし‥」
「へへっ、そんな事ないですよ!えっと‥、あの方とは‥?」
「おほほ!何でもあらしまへん!独り言独り言‥」


あの方って誰だろう。ヒビキくんはきっと凄い人に一目置かれてるのかもしれない。


「いやーお見事お見事!若いのに勇気ある行動ええもん見せてもろたわー!これはわしからの気持ちや!遠慮せんと受け取っておくんなはれ!」


先程声をかけられたお客さんが立ち上がり、わざマシンをヒビキくんに渡した。


「これは‥ひでんマシンのなみのり!ありがとうございます!」


何と便利なものを貰ったんだヒビキくん。いいな、私も欲しいよ。


「そちらのお嬢さんも、立ち向かおうとした勇気に、同じものをあげるよ!」
「え!?あ、ありがとうございます!」


やったー!私、何もしてないのに貰っちゃったよ。嬉しいけど、そういえば私なみのりを使える水ポケモン居ないんだよね。ま、いっか!
私とヒビキくんは舞妓さんとお客さんに別れを告げ、踊り場を出た。


「凄かったね、ヒビキくん!あ‥ヒビ、キ‥」
「もういいよ、ナマエの呼びやすい様でいいから。」
「え‥?ありがとう‥。」
「‥無理言って、ごめんな。‥‥僕、シルバーって奴に、嫉妬しちゃったみたい。」
「う、ううん!‥呼び捨てって嫉妬しちゃう程、羨ましい事なの?」
「え!?‥あ、うん。まあね!‥‥だからこれからさ、ナマエって呼んでいいかな?」


ヒビキくんは何故か顔をぱっと赤めながら聞いてきた。


「もう!すでに呼んでるじゃん!」


私が笑い混じりに言うと、ヒビキくんもニッコリ笑ってくれた。良かった、いつものヒビキくんに戻ってくれて。私はそんな優しいヒビキくんの笑顔が好きだ。


「ナマエはこれからジムへ行くの?」
「うん、そうだよ。ヒビキくんは?」
「僕はもう対戦済みだよ。これからアサギシティに行くつもり。」
「そっか。勝ったんだ!おめでと!じゃぁ‥ここでお別れだね。」
「ありがとう。頑張れよ!」


ヒビキくんは去って行った。それと同時に先程ジムで幽霊と間違えたおじいさんが私に近寄って来
る。


「あの方が、ヒビキくんとな?」
「あ、はい!そうですけど‥何故ヒビキくんを?」
「‥エンジュシティに伝わる伝説のポケモンは力を認めた人間の側に寄ってくるらしい。昔‥このとうが火事になった時、名も知れぬ3匹のポケモンが炎に包まれ死んでしまった。それを蘇えらせたのか、空より降りたった虹色のポケモンじゃ。町の人々はこうしたポケモンの力を恐れ暴力で押さえ付けようとした。しかし、ポケモン達は人々に反撃することなくむしろ人間の行いに深い悲しみを覚え自らこの土地を去った‥。これはエンジュのジムリーダーに古くから伝わる話じゃ。」
「は、はぁ。物知りなんですね。」


私は伝説の話じゃなくて、何故ヒビキくんを知ってるのかを聞いたんだけどな‥ま、いっか。


「わしは昔このエンジュのジムリーダーだったからな!お前さん、ジムに挑戦するんじゃろ?今のジムリーダーのマツバはわしよりも強いからな、せいぜい頑張るんじゃぞ。」
「そうだったんですか!ありがとうございます!」


おじいさんは去って行った。やっぱりマツバさんは相当なつわものなんですね。でも、絶対負けないんだから!よし!エンジュジムに出発進行!




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