アカネとカフェ



「ありがとう、モココー!初めてのジム一発勝ちよ〜!」
『メェメエ!』


私はジムに勝った時のお決まり行為、アカネさんに抱き着こうとする。が、何だかアカネさんの様子がおかしい?


「うぐぅ‥」
「え‥?」
「わーん!!!ぐっすん、ひっぐ、ひどいわー!!」
「えぇえぇえ!」
「あーあ、アカネちゃん泣かしちゃったのね。大丈夫!しばらくしたら泣き止むから!負けるといつも泣いちゃうのよ。」


そう弟子の女の子に声をかけられる。私、アカネさん泣かしちゃったの?ジムリーダー泣かしちゃったの?うわぁあぁあどうしよう!


「ひっぐ、また、負けてもうたっ、うちジムリーダー失格やぁっ。」
「アカネ、さん、えっと‥アカネさんは凄く強かったです!‥私なんてまぐれで勝てたんですよ!」
「‥ぐすん、確かに‥そうかもしれんな!‥ふう、泣いたらスッキリしたわ!」


立ち直り、早っ!ま、泣き止んでくれて良かったけど‥。


「慰めてくれはってありがとな!あんた、これからうちに付きおうてくれへん?」
「いいえいいえ。え、私で良ければ‥!」
「嬉しいー!じゃ、行きましょか!」


私達はコガネジムを出て、ポケセンでポケモン達を回復させてから近くのカフェに入った。ジムリーダーとカフェとか、めっちゃ緊張する‥!


「うち、ここよく来るんや、ここのモーモーミルクは最高やで!」
「へぇー、そうなんですか。アカネさんのオススメなら、私それにしようかな。」
「あぁ、うちの事はアカネでええよ!そういえば、あんたの名前は?」
「あ、ありがとうございます!私は、ナマエっていいます!」
「ナマエか、よろしくな!それと、敬語も使わんくてええから。年も結構近いやろ?」
「よろしくお願いします!‥そう、だね!ありがとう!」


私達は自己紹介を終ると、モーモーミルクを頼んだ。



「お待たせ致しました。モーモーミルク2点でございます。」


暖かいモーモーミルクを飲んでホッと一息する。うん、最高に美味しい。


「うち、ここんとこめっちゃ調子悪くて、負け続きなんや。今日もナマエ入れると3連敗やったんよ‥。」
「そうなんですか‥。でも、今日はたまたまもの凄い強い人が来ちゃっただけだよ!私なんてまぐれだったし!」
「ありがとな!正直ナマエはまぐれではなかったよ。ナマエもポケモンもめっちゃ強うてうちの完敗やった。ほんとに今日の挑戦者はめっちゃ強かった!1人目の挑戦者のマリルはあんな可愛い顔しといてめちゃくちゃ強いし、2人目のマグマラシも半端じゃなかったわ!でも、トレーナーが厳しすぎでな、ちょっとポケモンが可哀相だったわ‥。」


マリルとマグマラシ。思い浮かぶのは私のよく知ってる二人。こんな偶然ってあるのかな?でもヒビキくんもシルバーも、私と別れた時間的に調度良い気がするし。


「あの、もしかしてその二人、キャップ被った赤のジャケット着てる人と赤髪の紺色のジャケット着てる人?」
「そうそう!ナマエの友達なんか?イケメン揃いやなぁ!」
「へっ?ええ!?」


よく考えると‥確かに二人ともカッコイイかも。いわゆる、イケメン。ヒビキくんは身近すぎてあまり考えた事なかったし、シルバーはあの雰囲気が強すぎて‥。


「キャップの子!あの子はモテるやろー?赤髪の子は性格をどうにかすればモテるやろなぁ。いいなぁ、あんなイケメンな友達が欲しいわ、それで、恋に落ちて‥」


アカネさん、いやアカネ、相変わらずマシンガントーク!モテるやろって、それも考えた事なかったけど‥確かにヒビキくんはモテるかもしれない。カッコイイし、凄く優しいし‥シルバーだって、カッコイイし、怖いけど本当は優しいし、きっと。二人共彼女が居てもおかしくない。なんか、モヤモヤする。


「ナマエはその二人とはどうなん?」
「へっ!?いや、その‥ヒビキく、キャップの子とは幼なじみですし‥」
「幼なじみ!?美味しい状況やなぁ!小さい頃からお互い好きなのに、なかなか素直になれない二人‥いやーいいわ!」


な、何言ってるのー!私、ヒビキくんの事、好きだけど、え?好き?何だか、よく分からなくなってきた。顔が熱い、早く話を変えなきゃ‥!


「あっアカネは?何かないの?」
「うち?あぁ、うちな、可愛いーのに居ないんよ!ん?よく考えればうちにもイケメンな友達いるわ!」
「あはは、そうなんだ‥!じゃ、その友達と‥」
「んーでもなぁ、ハヤトはヘタレやしなぁ。第一、恋愛に興味があるのかも分からん。モテるのになぁ。知ってる?キキョウのジムリーダーのハヤト!」
「あっ、ハヤトさんなら知ってるよ!ジムに挑戦しましたし、お家にも泊めてもらったし。」
「挑戦したんかー、うちと戦ったって事は勝ったんやな!家にも泊めてもらったなんて‥っては!?泊めてもらった!?確かに、今そう言ったよな?」
「は、はぃい!」


アカネはもの凄い勢いだ。なんか、怖い。


「有り得へん!ハヤトが女の子泊めるなんて‥。」
「え、その、私が泣いてたから、仕方なく泊めてくれたんだと‥。」
「‥‥ふうん。そうなんか。ハヤトのやつ、なかなかやるな。」
「え?何がですか?」
「え!?‥ま、まぁいいわ!そいえばナマエはこれから、エンジュに行くんやろ?」
「あ、うん。そうだよ!」
「エンジュのジムリーダー、マツバもなかなかのイケメンやで!」
「へぇー、そうなんだぁ。」
「興味なしって感じやな。ま、ナマエにはお馴染みのヒビキくんが居るもんなぁ?それとも、赤髪の方が本命か?」


私の顔は更に真っ赤になり、アカネはとってもニヤニヤしている。


「もー!アカネったらぁ!怒るよ?」
「すまんすまん!そんな怒らんといてー!」


それからも私達はいろんな話で沢山盛り上がって、カフェを出た。


「そろそろ帰らな!時間経つのがあっとゆうまだったわ!」
「そうだね、あっとゆうまだった!今日はありがとね、アカネ!」
「こちらこそ、ナマエと友達になれてほんま良かったわ!遅くなったけど‥はい、レギュラーバッジ!これを持っていればかいりきを使えるようになれんよ!」
「わぁーありがとう!私もアカネと友達になれて良かったよー!」


私は今度こそアカネに抱き着いた。


「あはは!苦しい苦しい!まだあるで?はい、これわざマシンねメロメロ。可愛いーうちにぴったりやろ?」
「もう!ぴったりぴったり!ありがとう。」
「ふふ、ほなまた遊びにおいでーな?じゃ、バイバイ!」
「またねー!」


アカネはコガネジムへ、私はポケモンセンターへ帰っていった。素敵な友達が増えた一日でした。





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