ヒワダ→コガネ2



朝目覚めると肩に紺色のジャケットが掛かっていた。もう、あんなにいいって言ったのに。なんだか自然と笑みがこぼれる。私はジャケットをシルバーの肩にそっとそっと掛けようとしたら、バランスを崩してシルバーの腕に手をついてしまった。シルバーの腕、冷たっ!


「‥も、朝か‥。」
「ごめん!起こしちゃって。」
「いや、平気だ。」
「良かった。シルバー、ジャケットありがとね。寒かったでしょ?」
「別に‥寒くないし、お前がぶるぶる震えて眠れなかったから仕方なく掛けただけだ。」


いや、腕めっちゃ冷たかったし絶対寒かったでしょ。シルバーってやっぱり優しいんだな。口に出したら怒られそうだから言わないでおこう。


「ふふ、ありがと。」
「‥‥そろそろ、出発するぞ。」
「あ、うん!」


荷物を持って私達は歩きだした。
途中木に頭突きしてる変な男の人が居て好奇心で話かけたら、ポケモンにずつきを覚えさせてくれるみたいで、ベイリーフ、モココ、トゲピーに覚えさせてもらった。ずつきはなかなかの威力だ。たまに相手を怯ませる事も出来るらしい。満足したところでシルバーの元へ駆け戻る。


「ごめんね、お待たせ!」
「お前、寄り道すんなよ。俺が急いでるの知ってるだろ?」
「あ‥そうだったね、ほんとにごめん!そういえばシルバーが急いでる理由って‥」
「出口はもう目の前だ。俺は先に行く。」


シルバーはそう言うと、さっさと先に進み出す。


「待って!私も行く!さっきみたいに足手まといにならないように、気をつけるから!シルバーの力にならせて?」
「‥‥‥ナマエ、俺はあいつらと違って一人で強くなるんだ。」
「でも、ロケット団相手に一人なんて‥!」


私がそう言うとシルバーはもの凄く険しい顔に変わる。


「いいか?もう一度言う。お前を迎えに来たのも何もかも、お前の為じゃない、俺の為だ。勘違いするなよ?絶対、俺に着いてくるな!邪魔したら承知しないぞ!」


シルバーは物凄い迫力でそう言い放ち、走り去っていった。‥私とシルバーの別れ方って毎回もの凄い悪い。
何なんだろう。優しくなったり急に冷たくなったり、やっぱりシルバーが分からない。
複雑な思いを抱きながら私もウバメの森を抜けた。







34番道路到着。久々だ、この太陽が直接全身に差し込む感じ。私の心は太陽なんて差し込むどころか雨土砂降りだけどね。とりあえず今日中にコガネシティに着こう。
私はどんどん進み、いろんなトレーナーや野生ポケモンと勝負をして勝ち進む。目の前を見ると一軒家があって、その前におじいさんが居る。あのおじいさんも勝負を仕掛けてきそうだな。


「じいちゃーん!」


何だか聞いた事のあるような声が響き黙って見てると、まさかのヒビキくんがおじいさんの前に止まった。


「お仕事お疲れ様!じいちゃんからもらったポケモンとても元気にしてるよ!じいちゃんも元気そうだね。」
「おお、わしは元気もりもりじゃぞ!ヒビキもマリルも元気でなによりじゃ。」


あの人、ヒビキくんのおじいさんなんだ!ガン見してると自然とヒビキくんと目があった。


「おっ、ナマエちゃん!ちょっと来て!」


ヒビキくんに手招きされて、ヒビキくんとおじいさんの元へ近寄る。


「紹介するよ、トレーナーのナマエちゃん!ポケモンを育てるのがなかなか上手なんだ。」
「お、お世話になってます!」
「ほほっ、可愛い子じゃのう。」
「だろ?ナマエちゃん、ちょっと着いておいでよ!」
「あ、うん!」


私は家の中に案内された。てゆうかヒビキくん、今サラっと「だろ?」とか言ったよね!?何か、照れるんですけど‥。


「ばあちゃん!あのナマエちゃんだよ!」
「ほうほう、孫がガールフレンドを!いやー、なるほどなるほど。」


ななっ、私が、ヒビキくんの、ガールフレンド?顔が、凄く熱いんですけど、助けて!!


「ばっ、ばあちゃ‥!へ、変な事ゆーなよ!そんなんじゃなくてこの子は幼なじみの‥」
「ははっ、分かっとる分かっとる!ヒビキが連れてきたのだから腕は確かじゃろう。な、ナマエちゃん?またいつでも遊びにおいで。」
「ありがとう、ございますっ!」
「え、えーと‥じゃぁ僕はこれで!」
「う、うん。またね!」


ヒビキくんも顔を真っ赤にしてドアに向かっていく。しかし、着いたとこでまた戻って来た。


「あっ!すっかり忘れてたよ。はい、これ僕のポケギアの番号!」
「そーいえば交換してなかったね、ありがと!」
「うん!‥ばあちゃん!ポケモントレーナー同士だから電話を登録するんだからな?余計な事言わないでくれよな!」


ヒビキくんはそそくさ家を出て行った。


「ヒビキったら、やっぱり昔から変わってないのう。」
「え?何がですか‥?」
「お前さん、分からないのかい?」
「だから、何がです‥?」
「ははっ、いいんじゃよ。そのうちヒビキが‥そんな事より、うちは育て屋じゃ。誰かポケモンを育てるかい?」


んー何なんだろう‥。ま、せっかくだし預けてみるかな。誰にしようかな‥とりあえず一番レベルが低いトゲピーにしよう。バトル好きなトゲピーには悪いけどね。


「じゃ、トゲピーをお願いします。」
「分かったよ、適当に時間が経ったらまた来なさい。」
「ありがとうございます。お願いします!では!」
「じゃぁのう!」


私は育て屋さんから出て、外に居たおじいさんと番号を交換して更に先に進んだ。何人かのトレーナーとまたバトルして‥コガネシティはもう目の前だ!




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