原因黙秘
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「………おいエレン」
「…なんですか」
「悪かった」
「…もういいですよ」
この日、エルヴィンはとても珍しい光景を見た。
まず、人類最強といわれ、躾に対してはかなり厳しいリヴァイが、躾ているエレンに謝ったこと。
そして、この二人は恋仲であり、お互いがお互いを好きだが、今はエレンがそっけないこと。
珍しいこともあるもんだな、とエルヴィンは横で馬鹿みたいに寝ているハンジを叩き起こした。
「うぎゃっ!?」
「なんだこれは?」
「んぅ…ああ、よく分かんないけど…多分、」
ただのリア充?と半笑いだが呆れ顔で言った。
なるほど、とは思うはずもなく、しかし普段のエレンやリヴァイには見られない表情が見れるのは良いことかもしれない。
そんなことを思っていると、リヴァイが声を上げた。
「だっからお前は何が言いてぇんだよクソガキが!」
「っ…なんでそうやってすぐ怒るんですか!」
「てめえがいつまでたってもクソみたいにうじうじしてやがるからだ!」
「しますよ!当たり前ですよ!好きなんですから!」
なぜか、やけにエレンの最後の言葉が響いた。
エレンは我に変えると同時に、一気に血の引いた表情のあと頬を真っ赤にしてしゃがみこんだ。
ハンジは今にも爆笑しそうなのを押さえていて、そんなハンジをリヴァイは飛び蹴りした。
リヴァイはため息をつき、エレンに言った。
「…ああ言ったのは悪かった。でもなエレン、俺はお前しか好きになるつもりはねえよ」
「へい、ちょ…」
ほうら、リア充。と呟いたハンジに対して、事の発端をまず知らないエルヴィンには、あまりよく分かっていなかった。
次の日、様子を見がてら地下室にエレンに会いに行き、原因はなんだったのか、と聞いた。
「あ、いや、そんな言うほどのことでは…」
「…?なんだ?」
「えっと、身長の話をしてまして、俺がエルヴィン団長は背が高くてかっこいいって言ったら、兵長が、じゃあエルヴィンにしたらいいじゃないかって、すいません、心配かけてしまい」
「あ、ああ…いや」
というか、俺か。
なぜかこの原因は他人には知られたくないと思った。
なんだか、いたたまれない気持ちになったエルヴィンだった。
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エルヴィン団長のキャラがおかしいのは、私の文才の無さです、はい。
でもキャラがおかしいってことは私が安定してる証拠ですかね〜。
リヴァエレがケンカする話は書けたので良かったー!
130812