難解愛情表現
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半ば強引に差し出された綺麗な花束。
今日は特に大事な日でもない。
ましてや誕生日なわけでもない。
唐突にリヴァイから受け取れと言われ五分。
固まったままのエレンにリヴァイは声量を上げた。
「おい、エレン」
「…は、はい」
「早く受け取れ。腕がいてえ」
「え、でも、兵長、どうして…」
「何もない日に花を送るのは不思議か?」
「いえ…」
「なら受け取れ」
むずがゆい気持ちでおずおずと花束を受け取った。
ふわりと花のいい匂いがした。
花びらが満開に咲いていてどれも綺麗だ。
一輪だけでもかなり高いのだろう。
それなのに束でなんて、一体いくらしたのか。
嬉しい気持ち反面、申し訳ない気持ちが混ざる。
花に気をとられている内にリヴァイは去っていってしまった。
歩いていく背中を目に無意識に声が出た。
「リヴァイさん!」
「…なんだ」
「あ、ありがとうごさいます!」
リヴァイは少しだけ笑ってまた歩き始めた。
あえて兵長とは呼ばなかったのは意識的だ。
どうしても今は名前を呼びたかった。
リヴァイはいつも突然こういうことをする。
理由を問いかけても反応はない。
ただ、きっと。
「愛情表現…?」
「だと思うよ」
「は、ハンジさん!?」
「リヴァイの感情は難しいからねえ」
「…そうですね。でもやっぱり優しいです」
「エレンにだけ、ね」
ハンジは呆れたように笑い去っていった。
感情も言動も、難しくたっていい。
伝わっているから。
エレンは持っている花束をじっと見つめ、微笑んだ。
「難しくて優しい愛情表現ですね」
新しい花瓶を、買いに行かなくちゃ。
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今回×というか+?
あんまいちゃってない。
こういうの書いたあとはたいていエロに走ります。
よしエロ書こう。
131105