「だって、」

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我儘だと自覚してそう伝えれば、否定の言葉が返ってくる。
彼は優しい。
見た目や言動ではそう見られないが。
やはり人間とは外見だけで決めるものじゃない。
暗く静かな地下室で、エレンは考えた。
ベッドに寝ているはずなのに身体が浮いている感覚がある。
すっと自分の胸に手を当ててぐっと押した。
圧力が加わり息が苦しくなる。
このまま圧迫し続けたら死んでしまうのか。
心臓が破裂しても再生するのだろうか。
傷が何もしなくとも治っていくことが、なんだか怖い。
自分は周りと違うんだと、化け物なんだと、そう言われているみたいで。
ぼんやりする。
甘えていいと言われたらそう出来ない。
彼が気にかけてくれている。
それだけで十分なのだから。
胸から手をどけて大きく息を吸い込んだ。
彼は死ぬなと言ったけれど、生きていてどうすればいい。
巨人を駆逐する。
それが願望ではあったが、自分が同じ分類だというのに。
自己規制がきかなくなったら仲間を傷つけれかもしれない。
ならばいっそ彼に殺された方が良い。
そう言えばきっと、彼は怒るのだろうけど。
ふと感じた。
勢いよく起き上がり横を見ると、椅子に腰掛け足を組んでいる彼が。


「エレン」
「……兵長、いつからいたんですか」
「さあな、気付かないほど何かに集中してたのか」
「いえ、特に」
「エレン」
「はい?」
「何かに息詰まったなら、俺には必ず言え」
「…俺は、別に、大丈夫ですから」
「ならせめて甘えろ」


ぼたり、と頬を伝った涙が手に落ちた。
無意識だった。
溢れでる涙が次々と。
リヴァイはエレンのベッドに腰掛けた。
涙を拭うことも、忘れてしまったのだろうか。
エレンはただただ呆然と泣いていた。
ぎゅうっと抱き締めたら、エレンは静かに声を出して泣いた。
そして小さく言葉を発した。


「だって、」




シリアスが書きたくなりました。
…なんだろうこれ。



131020





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