かわいいひと
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「ジャン、俺もうお前としゃべらねえから」
そう言いむっと膨れっ面になったエレン。
放課後、ばいばいの挨拶の前に言われた一言。
思わず鞄から取り出していた教科書を落としかけた。
理由には原因がある。
しかし今回はよく解らない。
エレンがこうして自ら自白してきたのは初めてだ。
感心している場合ではないが、なんだか可愛い。
泣くことを我慢しているのだろう。
目に涙が溜まっている。
ジャンは落ち着いてエレンの涙を拭った。
「どうした?」
「…」
「エレン?」
「お前、やっぱり女子のが良いのかよ…」
ジャンの胸に頭をぐりぐり押し付ける。
理性との勝負に負けそうになってしまった。
がらんとした教室には二人だけ。
エレンの頬を手で包み、もう一度どうしたのか聞いた。
「昨日、体育の前」
「うん」
「コニーやマルコたちと女子の話してただろ」
「うん」
「その時ジャンが、」
「俺が?」
「…む、」
「む?」
「む、ね…が大きい奴が好みだって」
胸の一言で赤くなるなんて初々しい。
確かに昨日、そんな話をしていたな。
それで今日はあんなに冷たかったのかとジャンは納得した。
ジャンが嫉妬をすることがあってもエレンがすることはあまりない。
だから驚いた。
気にしていたんだろう。
可愛い。
「ばあか、俺はお前が好きだっつの」
「俺、胸ないし」
「なくてもこんなに可愛いじゃねえか」
「な!…ばっかじゃねえの!嬉しくねえよ!」
泣いたり怒ったり照れたり。
表情豊かで見ていてあきない。
誰がこんな可愛い奴を手放すものか。
真っ赤になったエレンにキスを落とした。
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10分クオリティ。
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