兄弟パロ▼夏祭り


「あの、さ、夏祭り行きたいんだけど」


弟からそんな言葉をもらったのがつい数時間前の話。
夏祭りなど、人混みの山であるため、あまり好まなかった。
しかしリヴァイは即答で「早く行く準備をしろ」と言った。
相手が相手であるからだ。
弟であり、恋人であるエレンの誘い。
断るはずがない。
しかし、やはり夏祭りだけあり、人が多かった。


「……なんだ、この人混みは」
「すっげえいるなー」


ざわざわと明るい雰囲気に各屋台の匂い。
リヴァイはこの感じがどうも苦手だった。
一方のエレンは嬉しそうに目をキラキラしている。
悪くは、ない。
そう思い足を進めた。


「ってか兄貴、浴衣着ないと思ってた」
「お前が着ろって言ったんだろうが」
「や、そうだけど本当に着るとは思ってなくて…」


エレンは最後に小さく「かっこいいな」と照れながら言った。
思わずそんな事を言う唇に噛み付きそうになってしまった。
それを抑えて「そうか」と一言返した。
この弟は、無自覚にも程があるな。
ぶらぶらと屋台を見回っていると、エレンが声を上げた。


「兄貴、俺あれ食べたい!」


エレンが指差したのは林檎飴の屋台。
またなんでそう甘ったるいものを。
だが、そういえば、エレンは昔から祭りに来ると林檎飴を食べていた。
特別、林檎が好きではないはずだったが。
丁度リヴァイも腹が減ってき、屋台に並ぶことにした。


「エレン、大小どっちにするんだ」
「俺、大がいい!」
「食べれるのか?」
「うん!」


先頭に来て大を一つ、小を一つ頼んだ。
「好きなもの取っていっていいよ」という若い青年の言葉を聞き、エレンは楽しそうに選んでいた。
リヴァイも適当に選び、二人で近くのベンチに腰かけた。
さっきはまだほんのり赤かった空も今では真っ暗。
真っ暗な空には月と星が泳いでいた。
無数にある星を見て、明日は晴れか、とリヴァイは思った。


「兄貴、楽しい?」


さっそく林檎飴を頬張っているエレンが聞いてきた。
横から襲ってくるのは甘ったるい匂い。
リヴァイも袋を外し、林檎飴を口に運んだ。
やはり甘すぎる。


「お前がいて楽しくないとは思わない」
「っそ、そっか…」
「けど、なんで急に俺と祭りなんだ?」
「え、なんでって…」
「去年は同じクラスの奴等と行ってなかったか?」
「あ、えっと、」


もごもごと言葉を濁らせるエレンになんだ、と聞いた。
まだ何も言ってないくせにエレンの顔は赤かった。
林檎飴そっくりだ。


「…去年の夏祭り」
「去年?」
「そのときは、まだ付き合ってなかったじゃん」
「…そうだな」
「お、俺だって夏祭りとかは好きな人と行きたいし…」


なんだか、こっちまで恥ずかしくなる。
確かに付き合ったのは去年の夏過ぎ頃。
まさかエレンがそんな考えをしていたなんて、初知りだ。
嬉しさのあまりにやけそうになる。
口元を隠そうと、林檎飴をまた口に運んだ。
まったく可愛いことを言ってくれる。


「エレン」
「ん?」
「お前、案外乙女なとこあるんだな」
「なっ!ちげえよ!」
「可愛いじゃねえか」
「かっ…!?」


またもや、林檎飴になったエレン。
リヴァイは表情がころころ変わるエレンに笑った。
エレンがそんなリヴァイの表情にときめいたのは秘密だが。
ぱちっ、と互いに目が合ったが言葉は交わさず、どちらともなくキスをした。
暑い夏はまだまだ続きそうだ。




暑い夏はもうちょっとで終わるくないか←
エレンがリヴァイに対してタメってのは初書きでした!
ってか私のサイトのエレンが女々しい…!
超じれったい!



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