現代学パロ▼デート


加減を知らずに、じりじりと照りつける太陽が身体中を熱に包む。
外の風すらも涼しいとはいえないほどだ。
キャラにも合わず、デートに浮かれて集合時間の30分も前に着いてしまった。
こんな猛暑の中を、じっと待てるほど体は元気ではなかった。


「あっちい…あいつ早く来なさそうだな…」


ジャンは滴ってくる汗を拭い、風を求めて手であおいだ。
エレンと付き合って初めての夏。
ジャンはエレンにベタ惚れだ、とマルコやアルミンにも言われたが、確かにそうかもしれない。
エレンが可愛くて仕方ないのだから。
そう考えていく内に、どんどんと会いたいと思う気持ちが強まる。
これから会うというのに、待ってるだけでも息がつまる。
ああ、緊張してきた。


「あー…ってかまじであちい…うわっ!?」
「絶対お前遅れてくると思ってた」


ひやり、と首に気持ちのよい温度。
振り向くと、缶のオレンジジュースを二つ持ったエレンがいた。
一つ受けとると、手にもひんやりとした温度が伝わってくる。


「…時間には案外しっかりしてんだよ」
「ははっ、意外」


軽く笑ったエレンに、どきりとした。
付き合う前はあまり笑った顔を見なかったが、付き合うようになってからはいろいろな表情を見る。
やっぱり、可愛い。
時計を見て時間を確認すると、今日観ようと言っていた映画の時間にはまだ時間がある。


「映画まで時間あるぞ?どっか行くか?」
「あー、そうだ、ジャンちょっと遊ぼうぜ」
「遊ぶ?」








ぱしゃり、と足をいれると足首より少し上までつかった。
こんな猛暑の日には、もってこいだな。
待ち合わせ場所からそう遠くない公園。
の、近くにある川。
水面がきらきらと光っていて、水も透明。
とても綺麗な川だ。
丁度今日はジャンもエレンも、サンダルで来たため水遊びをすることにした。
この歳で水遊びとは幼稚なもんだ、とは思ったものの気持ちいい。


「あっ、ジャン、ここ座ろうぜ」
「おう、これ足湯みたいじゃねえか?」
「足湯っていうか、どうせなら足水だろ」
「はっ、なんだそれ」


二人横に並んで座り、ぱしゃぱしゃと水面を蹴るエレン。
ジャンはさりげなく、エレンの右手をぎゅっと握った。
エレンはぴく、と反応したが何も言わずに握り返した。
告白したのはジャンからだったが、エレンも以前から気にはなっていた。
その感情が恋だと気付くのには少し時間がかかったが。


「エレン」
「ん?」
「…好きだ」


ぶわっと一気に真っ赤になったエレンを見て、ジャンは嬉しそうに笑った。
繋いでない方の手で、エレンの髪を撫でて、そのまま引き寄せた。


「んっ…」


一瞬触れただけのキスだったが、お互いにとっては心臓が爆発するようなキスだった。
初めて、した。
そのまま沈黙が続き、エレンが言いづらそうに口を開いた。


「別に、我慢とか、しなくていいから…」
「っ!…ばっか、お前…誘ってんなよ…」
「ち、げぇよ!この変態!馬鹿ジャン!」
「でも、我慢しなくていいんだろ?」
「…俺も好きだし」


じりじりと照りつける太陽と、水面に浮かぶ二人の影。
太陽は二人のことなどお構い無しに楽しそうに遊んでいる。
しかし暑い夏は、太陽のせいだけではないのかもしれない。




ん?あれ?これあんま夏関係なくね?
気にしたら負けです。
ジャンエレは付き合ったらぎこちなくなってくれたら可愛い。


130815




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