ある日の出来事






学パロ▼先生×生徒



廊下の窓を勢いよく叩きつけるような音は、まだまだ止まりそうにない。
この大雨と暴風では、帰るのが大変そうだ。
朝のお天気キャスターの言葉は嘘ではなかったな、と信じなかった自分に後悔をした。


「エレン?どうしたの?」
「ああ、アルミン、今日はミカサと先に帰っといてくれないか?」
「え、でもこんな天気で一人で帰るの?」
「大丈夫だ、用がすんだらすぐ帰るから」
「そっか、分かった」


きっとあとからミカサから大量にメールが来るのは目に見えているのだが、一緒に帰ったら帰ったでミカサは自分が濡れても、意地でもエレンに傘を貸すに違いない。
それはそれで困るな。
去っていくアルミンの背中を見送り、エレンはある人物のもとへ向かった。
あまり会いたくはないのだが、この天気であればそんなことは言っていられない。
多分、まだ教室にいるはず。
エレンは来た道を戻り、己の教室へと向かった。


「あの…、リヴァイさん」
「なんだ」
「傘、を忘れて…」
「だからなんだ」
「……嫌じゃなかったら、車、に、乗せてほしいんです…けど」


担任であるこの相手は実は自分の恋仲である。
一目惚れだった。
見ているだけで良かった。
気持ちを伝えるなんて、そんな自滅行為はしようなんて考えていなかったし、ましてや自分からしゃべりかけたことすらもなかった。
この人が好きだ、と言ってくるまでは。


「……あのな、」
「はい?」
「嫌じゃなかったら、なんて、恋人の頼みを嫌がる奴はいるのか?」
「っ…!!」
「もう少し待ってろ。片したい仕事がある」


リヴァイは教卓に広げられた生徒一人一人のノートをチェックしていた。
エレンは教卓の前にある自分の机に座り、その様子をよく見ていた。
手際がいいな。
ぱっと見れば、ノートをペラペラとめくって合格のはんこを押してるように見えるが、これでも板書していない部分や、字の間違いなどを確実に見落としていない。


「エレン」
「はい」
「なんだこれは」


一冊のノートの一ページをエレンに見せると、そこには端に小さく「リヴァイさんのばか」と書かれていた。
それは確かにエレンのノートだった。
エレンはがたんっ、と勢いよく立ち上がり、リヴァイの手から自分のノートを取ろうとした。
だが、それを軽くよけ、もう一度エレンに聞いた。


「なんだ?」
「う…あ、あの、えと」
「ばか、か」
「っ…り、リヴァイさん、が、ペトラ先生に、髪触られてたから…」
「髪?…ああ」
「すいません…」


下を向いてあやまると、リヴァイは薄く笑ってエレンの髪に触れた。
あ、笑った。
普段は仏頂面なリヴァイの笑顔は、エレンにとって最大級のときめきである。
やっぱりかっこいい。


「可愛いな、ガキのくせに」
「ひ、一言余計ですよ…」
「エレン」


呼ばれて顔を上げると、リヴァイの顔がすぐ目の前にあった。
あ、キス、しそう。
そう思ったと同時にリヴァイが目を閉じ、それに合わせてエレンも目を閉じた。
重なる唇から熱い温度が伝わってくる。
ねじこむように入ってくるリヴァイの舌を受け入れて、エレンは更に体中が熱を持つのを感じた。


「んぅ…、ふ…はっ」


頭がくらくらしてきた時に、唇が離れた。
少し肩で息をするエレンを見て、リヴァイはエレンの頭を撫でた。


「どっちだ」
「っ…え…?」
「俺の仕事は終わった。今から帰るか、それとも」
「…?」
「続きをやるか」


ぶわっと顔が一気に熱くなるのが自分でも分かり、エレンは伝えようとしたが恥ずかしくて言葉に詰まり、その代わりにリヴァイに軽く口付けをした。




学パロってリヴァエレだと、先生×生徒のイメージだけど先輩×後輩なリヴァエレも美味いと思うな。



130801
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