「お疲れ、なまえ。」
「ほ、本当に疲れました…」
「そうみたいだな…」
「ボスもご苦労様でした、私のせいでご迷惑をおかけして…すいませんでした!」
「気にすんなよ、こっちは結構楽だったから。」
「本当ですか?」
「あぁ!」


それより…とボスが指差した先にはザンザスさん。任務終了後、ヴァリアーとの共同打ち上げの最中である今、ザンザスさんとボスはお酌されるのに忙しい。


「てめぇの酒が飲みてぇ。」
「…仕方ないですね。」


豪華なイスに腰掛けるザンザスさんの隣に行く。たかが打ち上げでここまで…という豪華ぶり。料理もお酒も部屋も。どうしてかとスクアーロに小声で問えば、今日はザンザスさんの誕生日だと教えられた。そうか、それなら。


「ザンザスさん、任務お疲れ様でした。」
「あぁ。」
「肯定ですか、寧ろあなたが私に労りの言葉をかけるべきですね。」
「ふっ、強気だな。」
「それと、」


積み上げられたシャンパンを一本掴む。それをザンザスさんの頭にぶっかける。周りはもちろん騒然。スクアーロとボスは頭を抱えてる。

あの時と同じようにぽかんとしてるザンザスさんの襟首を掴んで噛み付くようにキスをする。


「っんぅ…」
「、っなまえ、」
「好きです。」
「…あぁ、そ、そうか。そうだな、じゃあ…結婚、するか?」
「―…本気!?」
「男に二言はねぇ。」


びっくりしすぎて声もでない。結婚、なんて。しかもヴァリアーのボスなんかと結婚したらいろいろ大変に決まってる。そんな理性をどうしてか私の頭は理解してくれない。

気づけばこくんと頷いていて涙まで流していた。


「…まじかよ。」
「なんでうちのボスはこうなんだ…」
「スクアーロ、分かるぜその気持ち。」

「ボス、スクアーロ!」
「あ?」
「結婚、決まった…」
「そうだな。」
「うれしい。」
「よかったなぁ。」
「キャバッローネはやめないでくれよ?」
「うん!」


ザンザスさんが私の身体をふわりと持ち上げる。今まで見たことのないような優しいあったかい笑顔を向けられて心臓が跳ねた。


「なまえ、」
「…仕方ないですね。」


甘えたように名前を呼んだザンザスさんに私も微笑んで甘いキスをした。



幸福をスプーンで掬う



「これからは私がザンザスさんを自立させてあげますから!」
「なら俺はお前を俺に依存させてやる。」


ちゃんちゃん








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