「お前、なかなか度胸があるな。」
「ないですよー。」
「ならなぜ俺を怖がらない。」
「…ザンザスさんて怖い人なんですか?」
「大抵の奴はそう言うな。」
「ふーん…私が怖いと思ったのってお父さんくらいかもしれないです。」
「ほぉ。」
「殴られました。」
「殴るのは得意だ。」
「遠慮しときます。どうせなら抱きしめてキスしてほしいです。」
「いいだろう、てめぇの酔いが覚めたらな。」







「そっ、そんなこと言ったんですか私!」
「あぁ、だいぶ酔っ払ってたみてーだからな。」
「だっ、だからあの人私にちゅーしたんですか!」
「そ、そうじゃねぇか?」
「いやでも、いくら私が言ったからって本当にちゅーしますか!?」
「うーん…ザンザスのすることはいつも突拍子もないからな…」


確かにそう言われてみれば、ボンゴレへのクーデターにしろリング戦にしろ随分と突拍子がなかった。本人たちは長いこと温めていた計画なんだろうけど。私の親父もクーデターを企てている最中に鎮圧されて死んだ。世の中は親父が悪いと言うけれど、私にはそうは思えなかった。
だから、この共同任務の話を持ち出した。キャバッローネはボンゴレの同盟ファミリーの中では秀でて仲の良い、信用されているファミリーだから、そこがヴァリアーと力を合わせて任務を成功させたら、ヴァリアーの信用をかなり回復させることができるはずだ。

腐れ縁のスクアーロを助けたいと思うのに無駄な感情はいらなかったし、昨日ザンザスさんの目を見て確信した。まだ幼い、少年の瞳が裏切りの悲しみと過ちの苦しみを訴えていた。ザンザスさんは、後悔なんてしていないだろう。それでも何処かでまだ苦しんでる。


「あったかい、唇だったな…」
「え!?」
「え、あ、いや変な意味じゃなくて!え、ち 違いますよ!」
「いや、俺はいいと思うぞ。ザンザスさんの奴もなまえのこと気に入ったみてーだしな!」
「ありえないです!」
「えー?」



矛盾した感情


(キスはあったかかったけど、別に好きってわけじゃない!)







ボスの喋り方って難しい。なんか古風になる(^q^)




111013





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