わたしのことちゃんと見て。わたし越しにあの子を見ないで。


「写真?」
「おう、これお前のだろ。」
「あー…」


ソファでポテトチップスを食べながら本を読んでいた私にスクアーロが渡したのは一枚の写真。16歳の私と17歳のベルが歯を出して笑ってる。ピースまでしてさ。今でも覚えてるよ、この写真撮った時のこと。そうスクアーロに言えば、ポテトチップスを食べて無言で先を促された。


「ねぇ覚えてる?あの、私とよく任務に行ってた女隊員。」
「あぁ、うちは女少ねぇからなぁ。」
「あの子のこと、好きだったみたいでさ。あいつ。」


でも私、見つけたんだよね。「なまえへ」って書いてある猫の銀のネックレス。それでさ、私舞い上がっちゃって。結局、そのネックレスはあの子の元へ送られたけど。


「おんなじ名前だったのよね。私とあの子。」
「…知らなかったのかぁ?」
「まぁね。私あの女のこと嫌いだったからね。名字で呼んでたから。」
「それにしてもアホすぎねぇかぁ?」
「若気のいたりよ。」
「………」
「まぁそれでね、こいつ任務中に死なないかなーと思ってたら死んだじゃん。」
「何年前の話だよ。」
「4年前。」
「覚えてんのかぁ。」
「当たり前。」


あの子が死んだから、あいつ、わたしのこと見てくれるかなって思ったんだけど。なんか私の名前呼ぶ声がね、違うの。いままでより甘くていままでより切ないの。あいつ、私じゃなくてあの子を呼んでるの。


「四年間、わたしのことなんて一度も呼んでない。あいつが呼んでるのは、いつもあの子よ…!」


スクアーロが渡してくれた写真を握りしめる。こんな薄い紙一つ、あいつがわたしのことを呼んでくれた頃を思い出して捨てられない。スクアーロが私の頭をぽんぽん、と叩いたせいで溢れ出した涙はなんなの?あの子に負けて悔しいの?スクアーロが優しいのがうれしいの?それともあいつを好きだって伝えろって急かしてるの?






ベル誕企画を今年初めて挑戦してみます。


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