301号室





「Hey!Stop…Stop!ちょっ…止めろ孟隻!」


家の扉を開けるなり、突然目の前に迫ってきた何か。
慌てて避けたが、跳ね返ったそれが後頭部に直撃した。

しかし痛がる暇も、飛んできたそれが何なのかを確かめる隙もなく、次々迫ってくるそれから逃げるしかねぇ。


『なんだ政宗、逃げ一辺倒か?』

「テメェ孟隻!いきなり何のつもりだ!?」


怒鳴るようにして聞けば、やっと孟隻も動きを止めた。
手にしているのは…ゴムボールか…?


『何って…好頻だろう?』

「はお……は?」


大人しく近寄って来た孟隻のセリフは、はっきり言って全く聞き取れなかった。


『ハォフィン。橙色の物を投げ合って勝敗を競うんじゃないのか?』


きょとんと、まるで不思議そうにオレを見下ろす顔は丸っきり素だ。
どうやら今回はいつもの悪ふざけではないらしい。


『倒した相手には賞品か命令かを迫れると聞いたが…』

「ハァ!?誰だ!アンタにそんな嘘吹き込んだのは!!」

『幸村だ』

「真田ァアアア!!!」


あの野郎…今すぐシメる…!
孟隻相手に体使ったもんで勝てる訳ねーじゃねぇか!馬鹿かアイツは!


『幸村には賞品で団子を貰ったぞ』


馬鹿だ!!まぎれもねぇ馬鹿だ!
無謀すぎるだろ!


『違ったのか?』

「全っ然、違ぇよ!Halloweenは何も競わねぇ!」


すぐさま真っ当なHalloweenについて教えれば、そうなのかと残念そうに呟く。

…んだよ、そんな顔されたらなんかオレが悪いみたいじゃねぇか。


「……で?…アンタ、オレからは何が欲しかったんだ?」


あんまり情けねぇ顔してるから、ちょっと聞いてやっただけだ。

そしたら…


『何ってそりゃ…お前、分かっているだろう?』


間近で笑う顔は、そりゃあもう思い切り楽しそうで。
がっちり抱きすくめられた腰は、到底抜け出せそうにない。



…ったく、気を遣ってやったオレが一番馬鹿だったぜ。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜
※“好頻”の読みは嘘ですから!





- 3 -


[*前] | [次#]
ページ:




目次へ
topへ



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -