第一主人公×元親





買い出しの途中に寄ったコンビニ。
そこに並べてあったペットボトルとそれに付けられている販促品。
鮮やかなピンクの紐にキラキラとした飾りがついていて、最近のおまけは随分質が良いんだなと妙に感心する。

それ以上に、というか、むしろそれをじっと見つめる元親の方にこそ妙に感心してしまった。
もちろん、良い意味で。


「(売り場の前に立ち止まるのはあんまり褒められたことじゃないけどな)」


しかしそれほど熱心に見つめる夢中さには思わずこっちの目も釘付けになる。
ストラップくらいもっと綺麗なやつがいくらでもあるだろうにと思うんだが、元親は単純に目の前のそれを気に入ったようなのだ。

見慣れていないことを差し引いても、値段より品そのものを見るその感性は自分の俗っぽい考えとはまるで異なっていて正直、かなりぐっとくる。


「元親」


おまけに俺に遠慮してそれが欲しいと言えないところがまた、可愛らしいというかなんと言うか。


「その瓶、一本取ってくれるか」

「瓶?」

「赤い包装の。目の前にあるやつ」


正確にはペットボトルだが、さすがにそれだと伝わるかどうか怪しいしな。


「欲しいんだろ?」

「!、や、あー…そういうわけじゃなくてよ…」


慌てて手を振る元親だが、その否定が恥ずかしいからなのか遠慮しているのかはいまいち判断しかねるが。


「俺も喉乾いたしよ。一緒に飲もうぜ」

「へ?」


おまけはお前にやるから言えば一瞬赤くなったが、すぐに嬉しそうに笑う。おまけ一つでそんな顔されるんだから、こっちも渡し甲斐があるってもんだよな。


会計の後、車に戻ってすぐにストラップを外して渡す。
しかし元親があんまり目を輝かしてそればかり見ているもんだから


「間接キスだな」


なんて、ついからかってしまったのは流石に悪ふざけが過ぎたのかもしれない。


「きす?」

「接吻」


口吸いでも同義だったなと頭の隅で思っている間に、見る見る真っ赤になった元親に横からペットボトルを引ったくられ。

はずみでこぼれた紅茶は冷たいし、ついでに照れ隠しで叩かれた背中は普段の倍は威力があったしで。


やっぱり純な相手を揶揄うもんじゃなかったとこぼれた紅茶を拭き取りながら反省した。





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