猫みたいなキミ
自分たちの部屋
の
お隣には
いつもやさしい大家さん
が
住んでいます。
* * * * *
『………………』
一ヶ月も前に約束したクリスマス。
一人暮らしの大輔殿が、武田家に遊びに来る約束で。
もう少しで準備ができるからと、呼びに来てみれば。
『(……眠っておられるのか…?)』
広いリビングの大きなソファ。
目的の相手は、その上で悠々と寝ころんでいる。
いつもよりどこか少し堅い装いで、ソファのすぐ側には大きめの紙袋が。
準備が早く終わりすぎて、寝てしまったのだろうか。
『(…はやく、お起こしせねば)』
規則的に上下する胸を確認し、頭では、そう思うのだが。
なんとなく身動きが出来ず、そのまましばらく立ちすくんだまま。
…五分程度も、そうしていたのだろうか。
じっと見つめてしまっていた横顔が、ふっと向きを変えて。
「………………幸、村……?」
『…お、おはようございまする…!』
寝ぼけて据わった目が、ぼんやりと認識をしているらしい。
ぽつりと、呟くように名前を呼ばれた。
『お休みのところ申し訳ございませぬ…ただ、』
支度ができたのだと言う前に、ひらひらと、手を振られて。
どうやらそれが、自分を呼んでいるらしいと気付く。
『…?………!』
近付けば、ぐっと手を掴まれた。
「幸村は…湯たんぽみたいだよな」
前からそう思っていたのだと、笑う。
「ちょっと、付き合ってくれ」
ふにゃりと、寝ぼけて笑った顔は、普段からは想像もつかないような柔らかさで。
抵抗する気にもなれないまま、促されるまま、大輔の上にうつ伏せた。
今、自分は、考えたこともないような近さで大輔に触れているのかと思えば。
一日で一番始めに会った時より、ごくたまにこの部屋の扉を開ける瞬間よりも、鼓動が早くて、どうしていいかわからない。
もしやうるさくて、起こしてしまうのではと思ったら、身動ぎひとつもできなくなった。
* * * * *
「………やんなっちゃうよね、まったくさぁ」
何分待っても帰ってこない幸村と大輔。
「旦那がやりたいって言うから準備してあげたのに…」
改めて部屋に入った佐助が見たものは、ソファの上で仲良く重なって寝ている二人。
「ほんと、変なとこ似てるんだから…」
待ちくたびれて寝てしまうなんてまるで子供みたいだと、ぼやいたセリフは誰に届くこともなく。
やれやれと、佐助はおたまを握り直した。
(だってあったかいんです)
幸村寝付くのめちゃめちゃ早いですね笑
いやだってそんなイメージなんです。
アンケート投函ありがとうございました!
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