その笑顔は好きかも





「……ごめん」


待ち合わせた駅の改札で、開口一番に謝られた。


『なんの!たった十分ではありませんか』


クリスマスの遊園地。その最寄り駅に、一人で立っている姿は、確かに多少浮いていたかもしれないけれど。

息を切らせて来てくれた相手に、何の不満があるものか。


「昨日…寝れなかった」


並んで入り口に向かう少しの間、実はとこっそりそう言ってきた舜に、自分もだとこっそり返す。

同じだと顔を見合わせるだけで嬉しくてしょうがない。





そんな浮き足立った心境のまままわったジェットコースターにコーヒーカップ、海賊船と少し恥ずかしかったがメリーゴーランドも。
地図を見てアトラクションを探すふりをして、お化け屋敷は二人で見なかったことにした。




つい夢中になって駆け足で回っていたと思ったが、気づけばすでに夕方。
日没の早い冬、今の時間帯はすっかり真っ暗になっていた。


「………乗ろうか」

『…そ、そうですな!』


“夜景が最高”というパンフレットの言葉に誘導されて、素直に最後に回した観覧車。
いざ暗くなってから来てみれば、きれいに飾られたイルミネーションが予想外にロマンチックで。

カップルばかりが順番を待つ乗り場が、やけに恥ずかしくてしかたなかった。





『…少々、ほっとしましたな』

「…だな」


列に並んでいる時間はなんとなく周りの目が気まずくて、いざ観覧車に乗って扉が閉まると、ようやく落ち着いたような気がした。

言えば、向かいに座る舜も確かになと苦笑する。


「あ…」

『?……おぉ!』


ゆっくりと上がって行く観覧車。
窓の外のイルミネーションが徐々に小さくなり、丸い町明かりと合わさってただキラキラと光る夜景になっていく。
目の前にいる人とその光景が重なって、目に写るすべてがなんだかひどく、特別なもののように見えた。


「パンフレット、正しかったな」

『はい!』


またそのうち来ようかと顔を見合わせて言い合った。


笑いかけて笑い返される。
笑いかけられて笑い返す。

このリズムが何とも言えず心地よくて、これからもずっと、これが続けばいいと思った。







(神さまのお膝元で)




…クリスマスも遊園地も関係ない!笑
まぁ…この話だけじゃないんですけども…(オイコラ
いつもと違う形を目指したら、非常に難しくて焦りました;途中で気づきました(阿呆


投函ありがとうございました!ナイスなお題を活かしきれずすみません;





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