恋泥棒ってやつですか





…どうも。夜分にこんばんは。
201号室の舜です…


…どうしてそんなに声をひそめているかって?
ふふふん…よくぞ聞いてくださいました!


実は俺、サンタだったのです!


…あ、嘘うそ、ウソですよ!そんな遠くへ行かないでください!

いやね、話せば長い事ながら。
今日はクリスマスじゃないですか。だから俺、いつもお世話になっているお礼に、みんなにクリスマスプレゼントを渡そうと思っていたんですよ。

でもその中身をすごくすごーく、そりゃもうめちゃくちゃ悩んでしまいまして。最近は悩んでるうちに一日が終わっちゃうくらい悩んでまして。
お花ちゃんに心配をかけてしまうこともあるくらいだったわけです。

で、そしたらですよ?いよいよどうしようかなーと思っていたら、二、三日前にいつも俺の世話をやいてくれる親切な方…まぁいわゆる足長おじさんとか紫の○薇の人的な方なんですが、その人の使いの方が手紙を一通届けてくれたんです。

しかも聞いて驚くなかれ、その内容はなんとみんなの欲しい物リスト!
…俺の足長おじさんは凄腕の探偵なんじゃないかと思いつつ、俺はありがたくリストを使わせていただくことにしたわけです。
だっておじさんのサポートで間違ってたことないし。それは今まで助けられてきた俺が一番よく知っています!


…なんて情けない自慢をしてる場合じゃなかった。急がないと夜が明けちゃいますよ。
さあ早くみんなの部屋へ忍び込まないと!

(珍しく)準備のいい俺は企画の趣旨を話して大家の大輔さんからマスターキーも借り受け済み!後はみんなの枕元に用意したプレゼントを置いて回るだけ!



……と思ったのに。


意気揚々とドアを開けたら目の前に小太郎。

…なんで?エスパー?予知能力?俺独り言とかで計画を呟いちゃってたっけ?


「……………(サッ)」


ん?ノート?字を読めってこと?…《プレゼントを買ってるところを見ました》?

いやー、もう素晴らしく察しのいい子だねコタロー…でも俺、ちょっとびっくりしちゃったよ。


「…(サッ)《おれも一緒に行きたいです》」


えぇ!?なんで!?いやでもだって、忍び込むのに二人で行ったらバレバレ…………じゃなさそう。うん。小太郎ならなんか平気そうな気がする。静かだし。


『(…じゃあ、まぁ…)…いいよ(たぶん?いいかな…)』

「!」


あ、なんかすごい嬉しそう。
でも本当になんで付いてきたがるんだ?サンタごっこが楽しそうだったのか…?

でもまぁ、とりあえず気をとりなおしていざ…


「あれぇ?舜ちゃん?」


…あれぇ?おかしいな、なんてこったい。佐助にまで見つかっちまいましたよ!?こんなことならもっと早く出発しとけば良かった!
てか、なんでこんな真夜中に出歩いてんのさ?

とはいえ、どうしたのーなんて寄ってくる佐助の手にはコンビニの袋。もう一目瞭然で買い出し行ってたんですね。
…この現代っ子!可愛いコは夜出歩いたら危ないんだからね!


「何?その袋…」


プレゼントの袋まで見つかっちゃったし…!
…これはもう白状するしかないようですね。


『サンタ。これから配る』

「みんなの部屋を?」


頷くと、じゃあ俺様も!と手をあげる。えー三人かー…大丈夫かなぁ…


「三人ならほら!舜ちゃん寒くないでしょ?」


そう言って左腕にぎゅっとしがみついてくる佐助さん。つられるように小太郎も右腕にくっついてきました。


…うん。三人って素晴らしいね。これ以上ないベストな人数だと思います。


というわけで、この両手に花状態で改めてサンタごっこに出発です!




◇一人目


『……さすがに片づいてるな』


片倉さんの部屋は。

というわけで、俺たちが一番に来たのは片倉さんのお部屋。今はバレないように三人で固まってこそこそ進んでいる最中であります。


「…っていうか、ほとんど物がないだけじゃない?」


まぁ、そうとも言うけどさ。
でもすぐ物(貰い物)でいっぱいになっちゃう俺とは大違いだって。
いいなー、一度くらいこんなさっぱりした部屋に住んでみたいよね。


「…サッ《片倉小十郎のぷれぜんととは?》」


あ、そうそう。本来の目的を忘れるとこだった。
音を立てないよう慎重に袋から取り出したそれ。かわいいラッピングに透けて見える中身は…


「右目の旦那は………伝説のきゅうりの種……?」

「……??」


そうなんですよ。小十郎さん最近きゅうり栽培にはまってるらしいんだよね!

…俺が嫌いだって知ってから。
どうしても食べさせるって意気込んじゃってさ…。いいのに…食べれなくても…。

でも、さすがにこの“伝説の”きゅうりの種は俺には用意できなそうだと思ったのか、足長おじさんの方から別添えで送られてきてたんですよ。ありがとうおじさん!

…ちょっと嬉しさは微妙だけど。




◇二人目


複雑な気持ち(俺のみ)で片倉さんの部屋を後にした俺たちです。
上手いこと運べた一軒目に続いて次のお宅も成功させたいところですよ。


「舜ちゃん次はだれー?」

「(次は…近さ的に)政宗だな」


二人を両手に引っ付けたままちょっと考えて答えます。
だって片倉さんの隣の部屋だしね!

出てきた部屋から数歩分隣へ移動して袋からプレゼントを取り出した。今回からはうるさくならないように部屋の外でプレゼントは出すことにしたんです。珍しく学習しました俺。だってさっき、袋のがさがさいう音でうっかり小十郎さん起きそうになっちゃって焦ったし…。


で、えーと政宗のプレゼントは…ポケットからおじさんの手紙を引っ張り出して確かめると…(舜に手料理を作るための)包丁セット?

そうそう包丁包丁。それにしても、なんかおじさんの手紙にはやけに空白が多いんですよね。この「包丁」の前とかさ。

でもなんか…政宗へのプレゼントを出した途端、二人の顔が凶悪に…ってか殺気が…!


「チッ…」

「……………(イラッ)」


…みんな何を察したんだろう…?

でもとりあえず、政宗の身の安全を考慮して部屋には俺だけが入りました。




◇三人目


「鬼の旦那…かなり、少女趣味っていうかなんていうか…」


次に入った元親の部屋は、海の男(もしくはヤンキー)っぽく雄々しい感じかと思いきや。


「………?」


いや、部屋自体は普通なんですけどね?
たまに置かれてるぬいぐるみとか小物とかがカラフルに可愛かったりフリルだったりレースだったり小太郎にも何だかわからないような何かだったりするわけですよ。


『(プレゼントは…パールホワイトのヘアアイロンだしね)』


佐助や小太郎もこのプレゼントには特に何も言いませんでした。

でも俺は全然いいと思います。ギャップ萌え最高。余裕で有りです。
むしろ俺は元親にはいつまでもそんなピュアさを持ち続けてほしい!




◇四&五人目


…なんて、非常にいらない主張の後はいよいよ最後に残る我らがお花ちゃん!

まぁ、単に俺の部屋(同居中)だから最後にしたんですけどね。だって帰る手間が省けるでしょ。


そんなわけで、佐助と小太郎とはエレベーターで別れます。


「じゃあねー舜ちゃん。なんか結構面白かったね!」

「……(ペコリ)」


手を振って帰ろうとする佐助と小太郎を一瞬だけ引き止めて、


『…佐助』

「えっ……これって!」

『小太郎も』

「!!!」


あれだけ配って二人にだけないわけないじゃないですか。
ちゃんと用意してありますよ!


『今日はありがとう』


ま、プレゼントを握りしめて固まっている二人にその声が届いたかはわかりませんけどね…。


二人を乗せたエレベーターはそのまま扉が閉まり、一階へと降って行きました。




◇六人目


さて、自分の部屋に帰ってきた俺ですが、何をしているかと言うと元就の部屋でもう一度おじさんからもらった手紙を見直しております。

だってですよ?お花ちゃんのほしい物がちょっと不思議で…。

だってクリスマスプレゼントに枕ですよ?伝説の枕とかでもない普通にお店で買える枕。
ついさっきまでは今の枕が合わなくなってきたんだとばかり思ってたけど、こうして見ると全然熟睡できてるっぽいし。
首の高さも固さもばっちりそうで、まるで眠り姫のようにすやすやと安眠しておられます。


『(本当は抱きまくらだったとか??いやでもおじさんからの手紙には……)』


って、はっ!!!
今まで何もなかった空白部分に文字が浮き出てる!


『(えーと…?「“舜と同じベッドで寝るための”枕がほしい」…)』



…………………


な・ん・で・す・と!!???


と!いうことはこれは元就のサブまくら!俺のベッドに設置するスペア!もしくは元就のベッドに置いておいてもいい俺用まくら!?


つまりお花ちゃんは俺と一緒に寝たいと思っている!!(重要な結論)


そして今お花ちゃんは目の前で眠っている!(重要な現状確認)






…親切な俺のおじさん!

あなただけは俺が今日、たった今からこのサプライズで素晴らしすぎるクリスマスプレゼントを使っても、人の道に外れていないと言ってくれますか!?







(これがサプライズというものですね)




長っ…!
しかもちょっと微妙…? orz

うーん、すいません。
面白いお題を生かしきれませんでした。
でも楽しかっ(黙れ

ネタありがとうございました!


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