「…そういえば、お前はこれに触れられるのか?」

やっと落ち着いたところで、ずいぶんと今さらなことを言う。そんなことも分からないのに切ってくれと言ったのか。

まったく呆れるような話だけれど、確かにオレにも触れるかなんかわからない。
もしかしたら、同じように鎖を掴めないかもしれないし。

「…まあ、とりあえずやってみてくれ」

その短刀を使うのだろうと言われ、ようやく握りしめた刀の存在を思い出す。
今の今まですっかり掴んでいることを忘れていた。


鞘から引き抜き、地面に垂れた鎖めがけて思い切りそれを降り下ろす。力がちゃんと伝わるように両手で、しっかりと狙いを定めて。



でも…



『………………』


「………………」



…予定では、穴になった部分にまっすぐ突き刺さるはずだったのに。

「………お前もこれには触れないのか…」

降り下ろした刀はまっすぐ地面に突き刺さっただけ。
それらしい金属音すらしないまま、刀は鎖をすり抜けてしまったのだ。





- 73 -


[*前] | [次#]
ページ:




目次へ
topへ



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -