月のきれいな夜でした
「なんだ?」
「……別に」
「どうかしたか?」
「どうもしねー…」
「寒いのか?」
「違う」
「隠れてるのか」
「違う」
「夢に怯えたか」
「…ちげぇよ、いくつだと思ってんだ」
「じゃあなんだ」
「なんでもねぇつってんだろ」
「抱きつくなんて珍しい」
「しつこいんだよアンタ」
「ああ、わかった」
「…?」
「甘えているんだな」
「………うるせぇ、そんなんじゃねーよ」
あんまりにも月が綺麗で、
それをアンタがあんまりにもじっと見つめているもんだから。
急にいなくなるような気がしたなんて。
「…言えるわけねぇだろバカ」
「ん?」
「全部アンタが悪ィんだ」
オレを弱くするから。
(怖かったなんて言えない。)
- 35 -
[*前] | [次#]
ページ:
目次へ
topへ