月のきれいな夜でした





「なんだ?」

「……別に」

「どうかしたか?」

「どうもしねー…」

「寒いのか?」

「違う」

「隠れてるのか」

「違う」

「夢に怯えたか」

「…ちげぇよ、いくつだと思ってんだ」

「じゃあなんだ」

「なんでもねぇつってんだろ」

「抱きつくなんて珍しい」

「しつこいんだよアンタ」







「ああ、わかった」


「…?」


「甘えているんだな」




「………うるせぇ、そんなんじゃねーよ」





あんまりにも月が綺麗で、


それをアンタがあんまりにもじっと見つめているもんだから。


急にいなくなるような気がしたなんて。



「…言えるわけねぇだろバカ」



「ん?」



「全部アンタが悪ィんだ」



オレを弱くするから。




(怖かったなんて言えない。)






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