安くて早くて安心で?





×かすが




「久しいな」


『…っ孟隻!?なぜお前が!?』


さっき帰ったばかりの相手が、なぜかすぐそばに立っていた。
だって…さっき、本当についさっき、じゃあなと言って帰って行ったはずなのに。


「いやな、さっきの帰り際、お前があんまり寂しそうな様子だったからな」


『わっ私はそんな顔していない!』


まさか、こんなヘラヘラした奴のことなんか…!


「バレたか。まあ、本当は私が離れ難かったのだ」


そう言って手渡されたのは、飴と小さな白い花。

さっき向けられた背中が、今はもう手のひらほども見えていない。見えるのは完全にこちらを向いた正面だけ。

…本当は、私だって


『……。安い手土産だな』


「買ったのは上杉殿の城下町だぞ?」


『なっ、違っ…物は自体は良いのだ!要は気持ちの問題だろう!』


苦し紛れの言い訳なんかでは、勿論こいつの憎たらしい笑顔が崩せるわけもなく。


「それは尚更仕方がない」


ただただそれはもう愉しそうに


「私は一刻も早くかすがに会いたかったのだ」



言って、一層深くなった笑みに不覚にもときめいただなんて…、死んでも言ってやるもんか。間違っても調子になんか乗るんじゃないぞ!






…まぁ、抱きしめてくる腕だけは…、振り払わないでいてやるが、な…。







〜〜〜〜〜
まだ帰らないでって言えないかすがに萌える。





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