身を知る雨
佐助→主人公×幸村
貴方に大切な人がいるのは知っているけれど。
どうしても嫌いになれない、わけで。
二人で旦那を家まで送って、二人でそれぞれに帰る途中。
穏やかなその横顔が、どうしようもなく満ち足りているのが一目でわかってしまって。
『ほんとに好きなんだね』
うっかり零れた自分の言葉に、当たり前だろと笑う。
その声にすら出さない声が痛い。
『…ほんとに…好き、なんだよ?』
俺様だって、とは言わないけれど。
「…知ってる」
うん、と一言。
「…ごめんな」
『うん、知ってるから…』
でも嫌いになれなくて、忘れられなくて。
『ごめんね。何でもない振り、しといてよ』
苦い想いに巻き込む形になってしまったけども。
どうか
このワガママだけきいてね。
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