世界の童話1
〜赤ずきん〜
「やっと見つけたぜ大輔!」
そう叫んで扉を開けるなり、勢い良く飛びつく政宗。着地点のベッドに寝ていた大輔は、急な登場に驚きつつも一応それを抱き止める。
「政宗?どうした、台本より随分早くねぇか?」
ちなみに配役は
大輔→おばあさん
政宗→オオカミ
というわけで、本当なら赤ずきんとオオカミが出会うまで、おばあさんは誰にも会わないはずなのだが。
「まだ休憩中らしいぜ?」
もちろんこれは大嘘です。
森では赤ずきんならぬ紫ずきんの元親が今まさにオオカミ(政宗)を捜索中。必死に台本を遂行しようと頑張っています。
「まだか?随分長いな…」
「だよな?だからオレが大輔の暇を潰してやろうと思って来たんだぜ」
そう言っておもむろに大輔の上に覆い被さる政宗。
据え膳か、と結構乗り気な大輔。
「俺は本番前に喰われちまうのか」
「喰われるのはオレだろDarling?」
なんてアホ丸出しな会話を繰り広げつついちゃつく二人。
しかし、二人がこの際おばあさんがベッドで寝ている設定もラッキーだ、くらいに考えていたところ、
「「!!?」」
突如鳴り響く盛大な破裂音。
近距離での銃声に甘ったるい(うざったい)空気もいっぺんに吹き飛んだ。
「だ・い・す・け・ちゃん?なーにしてんのかなー?」
俺様わかんなーいと嘘100%の笑顔で登場したのは猟師役の佐助。
攻撃モーションでもないのに周囲に属性のオーラがだだ漏れです。
「邪魔すんじゃねーよ猿。オレたちは今取り込み中だ」
「え?この武器?そうそう珍しい形だよねー。でも慣れない武器だから俺様手が滑っちゃうかも」
笑顔でにらみ合う二人のせいで周囲の気温は氷点下に向かって一直線。
間もなく始まった因縁の対決に側の大輔は何も言わず家の外へ避難する。
二人の争う騒音に気付いてやっと元親も合流したものの、事態を把握する間もなく劇は打ちきりに。
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