夏とアイスとバカップル
「…暑い」
「夏だからな」
「でもそれにしたって暑すぎるよ、ぜったい…」
先ほどから、何度繰り返したかわからないやり取り。
それをまたもう一度繰り返して。
「お前が毎日そう言うから、今日はこれ買って来てやったろうが」
食べかけのアイスを片手に上げて大輔は後ろでうめく佐助を横目に見た。
「そりゃアイスはおいしいけどさぁ…やっぱり暑いのは暑いしー…」
確かに佐助は暑さに弱くて例年夏にはバテている。
だから大輔も毎年できる譲歩はしているが、今年のように肝心のエアコンが壊れてしまえば元も子もなくて。
「大輔ちゃんアイス変えて。そっちのが冷たそう」
「…さっき変えてからまだ二分も経ってないぞ」
「それでも変えたいの!」
すぐに佐助がそう言い出すから、二つのアイスは二人の間を少なくとも三往復はしているのだが。
「だって大輔ちゃんが食べてると冷たそうなんだもん」
「…おい髪引っ張んな、つか俺の顔にアイス垂らすなよ」
それでもまだ変えたがる佐助が諦めるまで、大輔はおそらくそれに付き合うのだろうというのは、明らかすぎる未来で。
他人が見たらよけいに暑くなりそうな、午後の一コマ。
(夏よりあつい二人)
つきう様にいただいた絵から思いついた小話。
暑いなら離れればいいのにとか大輔は思いません。
というか二人はそんな考えは思い付きもしません(笑)
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