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『Ah?不審な男だと?』

珍しく慌てた部下の声に手元の報告書から視線をあげる。

『脛巾はどうした?いつもアイツらが始末してんだろ?』

「それが…」

領地に侵入した不審者の処理は伊達の忍軍である黒脛巾組の仕事のはずだ。今までは通り、今回もそれを通せばいい。
そう思っていただけに、続く言葉は予想外のものだった。

「…何でも黒脛巾組が手こずってるらしく、逃がしちゃいけねぇってんで今成実さんが押さえに向かってます」

まさかそこまでの事態になっていたとはな。
脛巾達は半分以上オレが入れ替えた腕利きだ。それが手も足も出ないとなれば…

『Hey』

「はっ!」

『その話、小十郎の耳にも入れとけ』

「了解ッス!」

そう言ってすぐに駆け出そうとするソイツを引き止めて立ち上がる。

そんな奇妙な相手は珍しい。成実が向かったなら放っといたって良いかもしれないが、ま…丁度良い暇潰しだ。

『小十郎に知らせるのはオレが城を出た後だ』

久しぶりに面白い展開がありそうじゃねぇか。





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