Unus sed leo.5
なんだかやけに目立っている…。気のせいでも自意識過剰でもなく、確実に周り中の視線を集めてる。
包帯だらけだからとか、眼帯だからとかではなく…
「……テメェ、いつまで付いてくんだ?」
「いつまでって…、だって隣のクラスだよ?」
当然のように言うなよおい。いくら隣のクラスだからって、別に並んで登校する必要はねぇだろが。
不思議がるようなすっとぼけているようなコイツが、紛れもなく今朝の目立つ理由だ。
なにしろ目の前のコイツはこの中学の生徒会長。一年がなっただけでも驚きだってのに、ましてコイツは五月からの転校生だ。出遅れて孤立するどころか、あっという間に基盤を固めて選挙を勝ち抜くようなヤツに目立つなって方が無理だろ。
「なんでお前がアイツの家にいんだよ」
「だから、弟だって昨日から何度も言ってるだろ?」
「信じられるかよ。イチミリも似てねーし」
しかもあのゴツくて凡そ真面目とは縁のなさそうなアイツが高校の生徒会長だなんてよ。絶対ワンマンだろ。目の前のコレはともかく、よくアイツが選挙に勝ったもんだぜ。絶対なんかしただろ。
「気にしてるのに…あ、幸村!」突然そう声を出したかと思ったら、急に隣で元気よく手を振りだす。
「、仲双!今朝は遅かったのだな?」
呼ばれて前方で振り返ったのは赤い鉢巻きをヒラヒラさせている男。今どき…つか、昔だってそんなもん着けてる奴なんかいねーだろ。
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