Unus sed leo.3





…なんだってまたこんな時ばっかりムカつくほどの青空なのか。

別に空なんざ見たくもねぇが 横も向けない有り様では大人しく見るより仕方なく。いっそこのまま目でも瞑ってしまおうかとも思ったが 身体中痛くて二秒と続けちゃいられない。最悪今日はこのまま野宿か?


「また派手にやられたな」


…あぁ、嘘だろ?冗談じゃねーよありえねぇだろ。ただでさえ最低な気分なのは見なくったってわかるだろふざけんな。今オレの視界に入ってくんじゃねぇ 話しかけんなニヤつくな。笑ってる他人に覗き込まれるくらいなら冷てぇ空見てた方が千倍マシだぜ。


「な?この学園は賢い阿呆で一杯だっただろう」


…本当にな!たかが下級生囲む為に薬仕込むヤツがあるかよ?流石に洒落にならねーだろ。

言ってニヤニヤと笑う相手が苛ついてしょうがねぇ。それとも寧ろ腹が立つのはそんな阿呆どもにやられちまった自分自身か?あぁだがまったく嫌んなるね。とりあえず今はなんにも考えさせんなよ。オレぁこれでも今、結構傷付いてんだぜ?なんたって初めての敗北ってやつだからな……って


『…!、何してやがる…』


睨み付けるオレをまるで無視かと思ったら、なんでテメェはオレを肩に担いでやがんだ?アァ?降ろせよ馬鹿野郎 オレぁ今日はここで一泊するんだよ。天然のホテルだぞ羨ましいかバーカ。


『降ろせ』


「嫌だね。お前はもう私が拾った」


『テメェ落とし物を猫ババか?』


「落とし物を届けるなんて要らない物の時だけだろうが」


堂々とひでぇ発言だなオイ。まぁ、その見てくれと態度に優等生な発言なんざ端っから期待しちゃいねぇがな……。


『……じゃあなんだ?アンタはオレが要るってのか?』


馬鹿言うなと鼻で笑う。
だってアンタ、アンタ誰だよ。まずそのレベルで他人だっつの。
薬と痛みで満足に抵抗もできないが、だからって大人しく担がれるのは癪にさわる。意地で振りほどこうと無理矢理体を捻っても、ひきつる筋肉が悲鳴をあげるだけで、オレを抱える腕はびくともしやしないんだが。


「別に?だが気に入った。お前が捨てるなら私がもらう」


…誰があんな吹きっさらしの校舎裏に捨てるか。一泊だ一泊。仮の宿だっつうの。オレが体動かせねぇからって勝手なことしてんじゃねーよ。
てか揺するなオイ こっちは怪我人なんだ丁寧に扱え。散々蹴られた腹を押すんじゃねぇよ。いっそこのままここで吐いてやろうか。


「何、傷薬と屋根ぐらいは貸してやる。試しに一泊世話されてみろ」


言って呵々と笑う。そのどこまでも軽い声は気に食わねぇが、なんとなく…こいつになら拾われてやっても良いかなんて思っちまったのは 単に殴られて頭がおかしくなってただけだ。





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