イースターエッグ






「あ」

「あ」

お互いの手の中にある卵。
というか、相当カラフルな卵だ。十中八九、同じ店で買ったことは間違いないだろう。

「「……………」」

流れる沈黙はなんとも言えない気まずさから。
何しろ、持っている卵の名前は『ハッピーエッグ』。売り文句は『あなたに日々の癒しをとどけます』。
正気の人間が手を伸ばすとは思えない胡散臭さだろう。買う時は冷やかしかせいぜい遊び半分、良くて仲間内でのその場のノリだ。

そんなものを仕事帰りに男一人で買った挙げ句、現場を兄弟に見られた気まずさときたらそれはもう…軽くこの世の終わりに近い。

姿形も性格も似ていると言われ続けた二十数年。まさかここまでシンクロするとは自分たちでも思ってはみなかった。

「………あんな所で店開いてんのが悪いんだ」

ぼそりと呟いた仁志の言葉に、ぴくりと毅志が反応する。

「だよな…あのバアサン、無駄に人が良かったし…」

自分の手のひらと相手の顔をちらりと窺って。

「…お前何色買ったんだ?」

無言の取り引きが成立した瞬間だ。双子だけに、こういう疎通も早くていい。

「おれ赤」

「…って赤すぎるだろ」

毅志の手には赤一色の真っ赤な卵。確かに見ているだけで面白い。なんだか元気が出るようではある。

「仁志は?」

「オレ青」

仁志の手には対照的に白で綺麗に模様がつけられた藍色の卵が乗っている。

「これどうするんだっけか?」

「確か…日向に置いて三日待つって言ってなかったか?」

「それだ。言ってた」

ここまで来たらやけくそ半分、むしろ隠す手間が省けたというものだ。いい年した大人が二人で窓辺に卵を並べる。

「…どうなんだ?」

「…知らねぇよ」

思わず眺めてしまうような新たなオブジェを前に呟きあう。

興味半分…というか、この時はまだ半分も期待なんかしていなかったが。






みたいな連載がしたいです。もちろん卵からは武将が生まれますよ!

〜〜〜〜〜
須藤仁志(スドウサトシ)・兄
須藤毅志(スドウツヨシ)・弟
同じ事務所の弁護士兄弟。いろいろあって(?)同居中。

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