三人目の男
女主×政宗
女主目線
私が生涯で選んだ相手は三人いる。
一人目の時は若すぎて、お互いが死ぬことなど、考える間もなかった。
そして、考える前にそいつは死んだ。
二人目の時はお互いの死は当たり前すぎて、せめて共に黄泉での再会を望んだ。
だが、会う前に私は蘇ってしまった。
二人とも私より先に死に、私が生き残って。
だから三人目もきっとそうなるのだろうと、疑いもなく思っていた。
だが
三人目は、
「アンタみてぇなイイ女残して死んだら、誰かにとられねぇか心配で おちおち三途の川も渡れやしねぇ」
だからアンタはオレが看取るのだと言った。
見送るのは淋しいぞと言えば、ならば尚更と言ってくれる。
いつも見送るばかりだった自分にすれば、それは予想以上に、大層甘い響きを感じさせたのだ。
もしや今なら嬉し泣きとやらも出来るかもしれないと思ったが、結局は出来ず、ただ笑って男を抱き締めるだけ。
だからこそ、何時か来るその時には。
この優しい男の為に、この男の前以外では決して死ぬまいと決めた。
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