朝起きたら隣にハダカ
※いつもと相手が違います!
政宗ではなく小十郎です!
* * * * *
「起きたのか」
と。
隣でひどく耳慣れた声がした。
それも、かなり想定外の近さでだ。
「……………んでテメェが…」
散々飲んだ酒宴の翌日。
何故か同じ布団で寝ている相手。しかしそれは隣にいるのが当たり前ではないはずの相手だ。
「昨晩誰がそのでかい図体をここまで運んでやったと思っているんだ」
そう呆れたように返す孟隻は何故か上半身裸で。
ついでに自分も何も着ていないらしく、かつ此処が布団の中となれば、正直、お互いの下半身に何か身に着けているかは甚だ怪しい。
「…着物はどうした…?」
「そこに置いてある」
なんてしゃあしゃあと言ってのける。
いや、置いてありゃいいってもんじゃねぇだろうが。
しかし他にも色々と思うところばかりだが、寝起きにコイツ相手に問答する気は毛頭ない。
するだけ無駄だ。
「だがお前、お前があんなべろべろになる程酔っ払うなんて思っても見なかったぞ」
自分の中で折り合いをつけて諦めた時、さらりと言われた台詞に思わず吐きかけた溜め息が止まる。
「何か良い事でもあったのか?」
…まるで逆だと言いたいが、言ってしまうのも躊躇われ。
というより癪で。
暫く濁したり黙ったりしたものの、見るからに諦めなさそうな孟隻を前にしては結局逃げ切れないかと覚悟を決める。
「………テメェが、」
「私が?」
「、…鬼島津んとこに行くだなんて言うからだろうが」
昨日の酒宴の真っ最中、政宗様と話していた孟隻が唐突にそう宣言したのだ。こちらの剣術を習いに行くのだと。
当然政宗様も周りのヤツらも止めようとしたのだが、コイツはコイツで絶対に行くの一点張り。
どうしても島津が良いらしい。
そんなコイツの態度のせいで昨日の酒宴は荒れに荒れた。
…もちろんこの俺も不満がないはずがなく…まぁ、情けねぇ話だがつぶれちまったというわけだ。
「剣術なら俺だって教えてやれんだ。なのにわざわざ島津なんざ選びやがって…何の当て付けだテメェ」
自分こそとは思っているわけではないが、それでも腕に自負はある。
ましてこちらの剣術のいろはを教えるだけならば、自分でも十分事足りるのに。
と。
「…お前も意外と抜けているな」
言った瞬間、隣で肘を立てて半身を起こした孟隻が呆れたようにため息を吐く。
「稽古中、外で襲って欲しいのか?」
「!?」
「真面目なお前もなかなか色っぽいぞ」
自分で思っている以上に艶めかしい姿なのだと揶揄われ、思わず睨んでいた目を丸くする。
そんなことで習う相手を決めたのかと思うと同時に、そんな目で鍛練中の自分を見ていたのかとも思う。
「…テメェの頭は最低だな…!」
「酷い言われようだ」
「目が腐ってやがる」
「気を遣ってやったのに」
「精神の軟弱な証拠だ」
「そんなに言われては立つ瀬がないな」
しかしこの俺様野郎相手には何を言っても無駄らしい。にやつく顔が直る様子はまるでない。
それどころか逆に俺の顔が赤いだなんて揶揄う始末。
「私が習ってきたら手合わせしようじゃないか」
「負かして大恥かかしてやるからせいぜい覚悟して戻って来い」
「日が西から昇ろうとその心配は無用だな」
揺るがないその自信は苛つくが、言われなくともそんな気は俺だってしている。
むかつくが腕だけは確かな奴だ。
「俺に習わなかったことを後悔しやがれ」
だから、させてみろと笑う鼻を絶対にあかしてやるのだと、明日から修練を増やすことに決めた。
* * * * *
この内容なら別に政宗でも良かったんじゃ…
いや、小十郎で書きたかったんですよ
というかこの主人公だとなんでかみんなケンカ腰の意地っ張りになってしまう…笑
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