出会う
目の前で立ち尽くす若い武将。
武将というには少々隙だらけだが、鎧姿の男を他に呼びようもないだろう。
見慣れぬ鎧は鋼か銅か…どちらにしろ面倒な防具だ。戟の刃が欠けたらどうしてくれる。
「オレを覚えていねぇのか……?」
耳慣れぬ音だ。
何故私は異国の言葉を解するのか。
『さて…お前と会ったことなどあったか』
気付かれぬよう、注意を払いながら窺った周囲。
視界に映る限りが見知らぬ場所、見知らぬ地形。
ここは何処だ。
何故私は此処にいるのだ。
曹操軍は…主上はどうなったのか。
何故私は主上のお側に居ないのだ?
…苛つく。どうしようもなく気が逸る。
目の前の若い武将。
酷く傷付いているのは一目でわかる。
何故かは知らないがな。
しかし悪いが、私に関する全て、知っている事を洗いざらい話すまで逃がしはしない。
出会った事が不運だったと諦めるんだな。
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