出会う





目の前で立ち尽くす若い武将。
武将というには少々隙だらけだが、鎧姿の男を他に呼びようもないだろう。

見慣れぬ鎧は鋼か銅か…どちらにしろ面倒な防具だ。戟の刃が欠けたらどうしてくれる。


「オレを覚えていねぇのか……?」


耳慣れぬ音だ。

何故私は異国の言葉を解するのか。


『さて…お前と会ったことなどあったか』


気付かれぬよう、注意を払いながら窺った周囲。
視界に映る限りが見知らぬ場所、見知らぬ地形。




ここは何処だ。



何故私は此処にいるのだ。



曹操軍は…主上はどうなったのか。



何故私は主上のお側に居ないのだ?




…苛つく。どうしようもなく気が逸る。



目の前の若い武将。

酷く傷付いているのは一目でわかる。
何故かは知らないがな。

しかし悪いが、私に関する全て、知っている事を洗いざらい話すまで逃がしはしない。


出会った事が不運だったと諦めるんだな。





- 5 -


[*前] | [次#]
ページ:




目次へ
topへ



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -