三人閑話
「もうせきはがくをたしなみますか?」
『少し』
「それはよい…!たいりくのものでしょうか」
『【馬頭琴】という。近い民のものだ』
「ちかいたみ?」
【私の生まれた村は他民族の文化が強くて、そちらの楽器なのだ。だから上杉殿の言う大陸とは少し違う…と言いたいのだが頼む】
「…何故余が取り持たねばならんのだ」
【自分が珍しい曲を聞きたいと言ったのだ。少しくらい良いじゃないか。どうせ後で上杉殿も交えて合奏するのだろう?】
「…………」
「のぶながこうは いこくごを かいせるのですか?」
『かんへぎ』
「?」
「…“完璧”ぞ」
「ああ、なるほど」
「孟隻は大陸でも異民の楽器と言っておる」
【取りあえず、一度お聞かせしよう。武人の独学で悪いが】
「かような物、何時の間に用意したのだ」
「さん、とじゅう…さんじゅうにちまえに?」
『そう』
「豊臣が戦を起こした日か」
『そう。…弾こう』
「あとでともにかなでましょう」
「腕にもよるが、な」
『応。見てろ』
「聞くのだろうが」
【…む……】
「(なかがよいですね…)」
趣味全開の三人。
君主たちはみんな意外と仲良しだと良いと思います。
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