年の功





『佐助、お前の仲間が来ているぞ』


「へ?……………あ、かすが!」


「!!」


「上杉の側を離れるなんてめずらしー。どうしたんだよ?」


「っ!武田がおかしな武将など手に入れるから…私が調べる羽目になるんじゃないか!」


『仲間じゃないのか?』


「バカなことを言うな!」


「違うよ。同郷だけどね」


『では噂の忍か』


「噂?」


『越後の上杉には美しい股肱がいると聞いた』


「なっ!?」


『確かにその通りだな。上杉殿は目が高い』


『しかし傾国そのものの容姿だが、それに振り回されず、隠密に任務を遂行出来るという事自体が能力の高さを示しているようなものだ。
信を置かれるのも頷ける。上杉殿もさぞや鼻が高かろう』


色々な物がこれだけ輝かしいと、闇に紛れるだけでも難しいと思うがね。


「…き、貴様!もう何も言うな!」


『そうして恥じらうところもまた美徳だな』


「………っ!!!」


この子はシン姫様のように美しいが、あの方ほどは誉められ慣れていないようだ。
勿体無い。
どうしてこんな宝を愛でもせず、周りの者は放って置くのか。理解に苦しむな。


「わ…私は帰る!」


赤くなって慌てて立ち去ろうとする。

日頃から言い続けてやらないからこれ位で赤くなってしまうんだよ。


『上杉殿の所領には、いずれ私の方から出向かせてもらおう』


「…好きにしろ!」













「……………;」


『どうだ佐助。こちらの言葉も大分上達しただろう』


お前に教えてもらったお陰だと言えば。


「いやいや上手いどころじゃないし!何その口説きっぷり!?孟隻さんのそれワザとやってんの!?」


『若いな佐助…長い人生、女性を味方につけねばならない時は多いぞ』


敵国に潜入した際は、良くこうして女官達から話を聞いたものだ。


「まじかよ!!うぅ…なんかそれ…ずるくない?」


孟隻さんばっかり、と言われてもな…。


「(…俺様も言葉じゃなくてそういうの覚えたいなぁ…)」


【顔に出てるぞ佐助】






かすがさんはどうやったら照れると思いますか…。
上杉さん以外の人はどうやったらかすがさんに懐いてもらえますかね…?





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