女王バチ4匹目
わりとユニークな感性で建てられたらしい城に連れて来られてはや十日…“ザビー教”改め“舜教”の教祖になってしまった香月舜です。
まあ、強制的にされた訳ですが…。
「ミナサン、今日も一日はりきってラブインカネートに尽くすのデース!!」
「イエス、ザビー!」
「モチロン入信者を集めることも、おこたってはイケマセーン」
「イエスザビー!!」
「行きまショウ!全ては愛と舜サマのために!!」
「イエスザビー!イエスザビー!ウィー!ラブ!舜!!!」
怪しいとかいう次元を超えてるね。こりゃ。大体なんだよラブインカネートって?愛の化身…でいいのか?直訳すぎんだろ。本当に外国人か?
なんか元の世界より慕われ度合いが上がってるんだけどー
さすが宗教…
てか天帝さまー?ちょっと愛が重いですよ。
「舜サン♪今日は戦略情報部隊長をゲットしに行きマース!」
行ってらっしゃい。
勝手に行ってらっしゃい。
俺は行きたくない。
「戦うワタシを見ててクダサーイ!ザビーチョーはりきっちゃうヨ!!信者のミナサンも士気バカ上がり間違いナシ!」
やだー。トンスラ軍団を俺が率いてるみたいじゃん。(すでに率いてるっぽいけど…)
絶対いやだ。
…つってもこのハゲには通じないんだけどね!
強制的に連行されてんだけどさ!
輿で!
たっけーよ!肩に担いだら地面からめっちゃ距離あるから!!
もー、完全にまつられちゃってんじゃん。俺、神様じゃん。扱いが。
慕われ慣れてるけどこれは流石に引くわー。一応ちっちゃいお堂みたいな感じだから、まわりからは見えないのが唯一の救いかな。
こんなかわいそうな人みたいな姿、本気で誰にも見られたくない…
なんて、ぐだぐだ考えてるうちにも輿は進んでしまうわけで。
前方部分はすでに戦い始めてしまっているわけで。
『(…あー…マジでやってらんね…いっそ倒されちゃってくれればいいのに…。がんばれ敵さん、そして俺を解放してー)』
なんて思いもむなしく、教団の連中が押し気味です。
遠目に見える緑っぽい大将のところまで、黒いトンスラ集団が押し寄せているのがはっきりわかっちゃいます。
…がんばって緑の!!
『(あぁっ!!?)』
…て、おいっ!!!
なに攻撃くらってんですか!!??俺、応援したばっかじゃん!!もしかして応援しない方がよかったの!?
チッ…目が合った(気がした)から、あわよくば念が通じるかと思ったのに…
まあ、無理な話ですよね。
せめて俺が本当の神様だったら、あのハゲに全能神ゼウス並みの雷をお見舞いしてやれるっつうのに…。
ああ、くそっ!ゴキゲンにフィーバーしやがって!!
あいつのバズーカが聞こえる度に、さんっざん間近で見せられた不愉快な笑顔が目に浮かんじまうぜ。
無傷で帰ってきたら俺が制裁をくわえてやろうか、まったく…。
とにかく緑の!今は君だけが頼みの綱!!
がんばれ、俺のために!!
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