女王バチ26匹目
例のオレンジさんが現れてから数日、中国は至って穏やかです。(当社比)
………………。
…どうも。ネーミングセンスが最悪な香月です。
オレンジさんて…お花ちゃんに引き続きなんて安直な…
いやね?自分でもひどいなとは思いますけども。俺の中でそういう刷り込みが出来上がっちゃったんですもん。本名知らないし。
次来たら名前聞いてみようかな。
って、教えてくれるんですかね…?だって一応不法侵入者ですからね。敵かもしれないのにペラペラ喋らないんじゃないかしらん?
まぁ害はなさそうな感じでしたけども。
あ、後でおタケさんにいいあだ名の相談でも…って、それじゃ不審者がいたのバレバレじゃん!白状しちゃってんじゃん!
俺バカだね?そうですね?
内緒にする約束したし、そんなことはできませんよ。
こうなったら、天帝さま天使さま!どうか俺にナイスなあだ名かひらめきを!(他人任せ)
…まぁ、そんな冗談はさて置きまして。
めっきり寒くなってきましたね。
なんて思わず天気予報チックな挨拶をしたくなるような季節です。木枯しが徐々に吹きだして、だんだん日の入りも早くなりはじめ…たのはずいぶん前の話ですよ。
ぶっちゃけもう冬至もお正月も過ぎて、大寒だって過ぎちゃったような季節ですからね。
早い話が一年で一番くそ寒いっていうね!
夏はまぁ良かったけどヒーター!ヒーターじゃなきゃ床暖でも…!こっちの冬、本気で寒すぎますよ!!リアルに寒さに防寒対策が追いついてないから!この寒さで対策が火鉢って…泣けるよ現代っ子は…!
あぁ…、ほんとに人類の叡知って素晴らしい…科学、最高だね……
『(……って、あれ…?)』
内心現代に未練たらたら状態だった俺の視界の横を、ころりと何かがかすめて消える。
…………なにごと?
と、思ったら。
お茶の時間ですよ皆さん。
いやね?最近お茶の時間になると、こんなヘボい俺のために小太郎がいろいろ気を配ってくれるわけですよ!
大抵はお茶の乗ってるお盆とかお菓子の小皿に季節の物が乗っかっているんですけど。
秋のもみじイチョウに始まって、松の葉千両、椿。昨日は梅だったけど、今日は松ぼっくりと雪うさぎ。
あ、ついでにさっき視界の端をかすめていったのは、転がった松ぼっくりですよ。
うーん、風流人だね小太郎。
今もついっと差し出されたお盆とお茶、その横にのるお茶菓子と松ぼっくり、と、その隣にちんまり座った雪うさぎ。ちっちゃくって可愛らしいその雪うさぎを見て思わずにやければ、目の前の小太郎もぱっと嬉しそうに笑います。
うーん…、可愛いな小太郎。このお手製雪うさぎと張る可愛さだよ。耳を着けて座らせてみたいです。
本当に気遣いにも本人にもめちゃめちゃ癒されるわー。今ならザビー城に居ても平き……すいません大嘘つきましたすいません。絶対戻りたくないですごめんなさい。
…いらないこと思い出しちゃったねまったく…。や、でもそれくらい小太郎の心遣いが嬉しいってことですよ。
ありがとう小太郎!癒されたよ小太郎!君は乱世に舞い降りた天使だね!
『(……あ…)』
「?」
…なんて、のんきに思ってた俺の馬鹿!
よくよく見ればお茶を差し出してくれてる小太郎の手、若干赤いじゃないですか!?冷たいから!?つかもしかして手荒れってやつですか!?(未経験)
三秒前の俺、海よりも深く反省して!可愛いとか言ってる場合じゃないじゃん!
『…、小太郎』
「…?」
『……(やっぱり)…荒れるから、雪はだめ』
「……!!」
素直に寄ってくる小太郎の手を掴んでぎゅっと握れば、あんまりにも自分とは差がありすぎる温度にびっくりだよ。手がめちゃめちゃ冷たくなってるし…もう雪うさぎは駄目!絶対やめなさい!メッ!ってしますよ!
…ほんとにもう、あかぎれとか痛そうだし…(未経験)
こっちの世界には打倒手荒れに情熱を傾けた薬剤メーカー渾身のハンドクリームとかないんだよ?小太郎が痛いのは俺もいやだからね?無理しちゃだめだからね?
なんて、そんな思いを込めつつ見つめれば、ちょっとおろおろしつつも聞き分け良く小太郎は頷いてくれます。
さすが小太郎!以心伝心、俺の気持ちよくわかってくれてるね!
そのまま調子こいて小太郎をぐいっと抱き寄せて手を擦り合わせる。
単にあっためたげようと思っただけだったわけですが、これが俺にとっても思いの外気持ちよかった訳でして。
照れまくる(というか硬直?)小太郎を無視して抱きしめつつ、俺は以下のことを思いました。
やっぱり寒い冬はヒーターより人肌ですよ。
なかなか風流(?)っぽいし。暖房なんかよりよっぽどエコだし人類愛(?)も深まるし(?)
訂正します。戦国時代万歳!
〜〜〜〜〜〜
…相変わらず小太郎相手だと会話がない……orz
そしてヤ・オ・イを体現するような話ですね(・_・` )
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