女王バチ21匹目





……なにこれ?


目の前で繰り広げられてる光景が俺には信じられません。


爆発する人形?から、走り回って逃げてる元就と伊達さん(仮定)。
その奥で無駄に回転しつつ笑う不愉快な物体。

あっ!よく見たらあの機械でかいのもちっさいのもザビーそっくりじゃねーか!!!

うぜぇーっ!!!


「…舜様!!?」


はっ!お花ちゃんが俺に向かって駆け寄ってくる!


『元就…』


「どうして舜様がこのような所へ…」


それはお花ちゃんが飛び出して行っちゃうからでしょー!!?
あなたが心配で追って来たんですよ!


「政宗様!」


後ろから来ていた片倉さんが主君のもとに走って行く。そういえば例の目障り極まりない機械類もいつの間にか止まってるし。
これなら元就たちももう走り回らなくていいよね。

あーもー、ほんと無事で良かっ…


「舜チャン!!!ヤット見つけたネー!!ザビーの所ニお帰りナサーイ!!!」


たよ…俺の元就って、は…?

何?もしかして今、俺の声遮られたわけ?
あの人か何か判別もつきがたい生物に?

冗談じゃなくて?



「…あの…舜、さま…?」


………………チッ!!!


このハゲが!!

しゃしゃって来んじゃねぇよ!!!タコが!!

どんだけ俺の邪魔しやがんだこら。
心は狭くとも(面倒で)ほとんど怒ることはないこの俺と言えども、いい加減さすがに無理が来ましたよ?


「舜チャン舜チャン舜チャンネェ舜チャンってば!!ザビーもかまったホシーヨー!!!」


か・ま・わ・ね・ぇ・よっ!!!!

うるさいし。もうお前の面を見るどころか声を聞くのも嫌。

存在を認識するのが嫌。


ついに俺の我慢の限界をぶっちぎったザビー。溜まりに溜まった何かが沸々と体内で湧き上がって来るのがわかります…。

…天帝様!俺にご加護を!!


「「「!!?」」」


「ノォーーー!!!??」


衝動のまま突き出した手のひらから、何か真っ白い衝撃波のようなものが放出されました!放出されましたよ!?

…おおー!!?すごいね俺!すごいこと出来るようになっちゃったね俺!!

ゼウスが雷なら俺はこれか!!?

天帝様万・歳!


「…舜…様?」


目の前でポカンとしている元就。

でもそれ以上にさっきの衝撃波?で部屋の端までザビーを吹き飛ばしたことにちょっとだけスッキリした気分です。

これはもう、更に一歩踏み込むしかありませんな。


『貸せ』


あー、なんで俺丸腰できちゃったんだろ。
ごめんなお花ちゃん。すぐ返すから!

さっと差し出された輪刀を受け取り、倒れたザビーの方に向かって歩く。


「オー、舜チャン!久々に見テモ、ヤッパリ素敵ネ!!」


ふっふっふ…お前は久々に見るとより一層うざいよ。

ダメージも少なそうだし。お前も驚けよ俺の新技に。

近くまで行った瞬間、そう叫んだザビーが足にしがみついて来た。ええいっ触んなオッサン!服が減る!汚れるっつってんだろこの野郎!


「ちょっと!ヒドいヨ舜チャン!?」


思わず力の限り蹴り飛ばしたザビーがしなを作ってわめいている。

知るかっ!!気持ち悪いんじゃ!!!


無視して輪刀を振り上げると、ザビーも慌ててバズーカを構えた。
あーとりあえず一撃目は防がれんなあ。


なんて思っていたら。


「「「!??」」」


「ノォーーー!!!?」


『(…あら?)』


予想していた金属音は鳴りません。掲げられたはずの武器を輪刀は何でかすり抜けて、ザビーをしっかり斬りつけた手応えが。


よし。なんだかよくわからないけども、このまま一気に天罰を……



…と、思ったけど。

輪刀に着いた汚れが目について、ちょっとためらってしまいました。

だってこれ元就の、つまりお花ちゃんが持つ武器ですよ!?


あの愛らしさ満点のお花ちゃんが!!


こんな変態まがいなオッサンの血では汚せません!!!!穢れる!!変な菌が伝染してしまう!!

ザビー菌は絶対強力だって、絶対!!


あーーっ!もーーー!!なんで俺丸腰できちゃったんだろ!!!?
俺のバカ!気がまわらなすぎ!

この絶好の機会を逃してしまうのか!?


でも、かと言って小太郎の手を汚させるのも嫌。こんなハゲの為に小太郎の磨き抜いた技を使ったもらうのは忍びなさすぎる。もったいない!

しかもなんか無駄に呪いとかありそうだし。ちょっと違う意味で小太郎じゃ危険だって。


……ぬうぅ…っ…悪運の強い奴め!
流石になんか宗教の教祖だけはあるな…!

仕方ない…ものすごく、ものすごーく不本意ではあるが、今回は見逃してやる…!!


『(…これ以上ないほど言いたくない言葉だぜ…だがしかし…)消えろ。二度と俺の前に出るな』


今回だけだからなっ!!!(下っ端の捨て台詞じゃないですから!)


心の中だけで百回くらい舌打ちをしてしまいましたが、とりあえず半分くらいはスッキリしたからザビーの事はこれでおしまい!良しとしましょう。
忘却の彼方へ捨て去りたいと思います!
ああ、清々しい。


さて…!!


「!!!!!」


俺の腕におかえりお花ちゃん…俺のマイハニー!さっきどっかのハゲに邪魔された感動の再会をやり直そう!

あんな適当で済ませられるほど俺の感じた心配と悲しみは浅くないのだよ!


「…なっ!?舜様!?」


『心配させるな(俺は色々とショックで倒れるかと思ったよ本当にもう…)』


そんな可愛く慌てたって今日は離してあげません。俺を振り回した罰ですから。

だって意外と短気だからさこの子。怒ると何がどうなるかわかったもんじゃないよまったく…。

でも本当、無事で良かったー。見たところ傷も瑕もないし…


「…おい」


腕の中の元就の感触を目一杯確かめていると、何だか機嫌の悪そうな声が。

…そういえば、ここには俺とお花ちゃんと小太郎以外もいたんでした。


「アンタが毛利のmasterか?」


振り向けばちょっと目線の下がる辺りに綺麗な顔が。
さっき元就と一緒に走り回っていた人だね。

…眼帯してるし、さっき片倉さんも呼んでた気がするし…今度こそ多分伊達さん…なはず。
片倉さんの一件があったんで、ついつい慎重になってしまいますな。


「政宗様…!!」


おおっ!でもやっぱり伊達さんで合ってるっぽい!

すげー!ついに俺、生伊達政宗を見てしまいました!

てか伊達さんもめちゃくちゃ美人!ゲームの世界ってほんと最高。

だって俺、美人好きだからね。男女問わずやっぱり見る分には綺麗な方がいいよね?


…って、そういえば俺質問されてましたよね?一国の主に。

阿呆なこと喜んでる場合じゃなかった。
はい、すいません。今答えます。


『(えー、なんだっけ?…元就の…主かって質問だっけ?…うーん違うんだけど…もう元就が会った時にそう伝えちゃったんだっけ…?じゃあ…)……そうだ(たぶん。今のとこ。…仮つきですけど)』


悩みながら答えると、間髪入れずに目の前の美人(伊達さん)が笑います。

にぃって音が聞こえそうなくらいバッチリ決まった不敵な笑顔。
いやー美形は何をやってもサマになるもんですね!思わず見とれちゃうよ!


「オレが奥州筆頭伊達政宗だ。しばらくの間、厄介になるぜ」


こちらこそ末永くよろしくお願いします。

美人が増えるのはほんと、大歓迎です!


城に新しい花が咲きそうですね!!





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