女王バチ20匹目
災厄の源、ザビーの船になんとか乗り込んだ香月です…
…というか
怖っ!!よくみんなこんな所飛び越えたね!!
甲板から水面までかなりあるんですけど!?落ちたらとか考えたりしないの!!?
俺はするよ!
まあ跳べたけど。跳べたからとりあえず良いけど。小太郎とかめっちゃ余裕だし。
みんなそんなもんなの?
すごいね。
とりあえずそんな感じで船内に入った俺と小太郎。相変わらず小太郎の姿は見えないけど。
でもなんとなく近くにある気配と一緒に進んでいくと、……いくと…
廊下に転がるたくさんの元・信者の人たち。
わぁ、これ本当に生きてるのかな…!?
初めて生で見てしまいました。
結構グロいですね?
…うん。あんまり見ないようにしよう。
そうしよう。
そうやってできるだけ前だけ見て進む俺の視界に、徐々に増えていくトンスラ集団。
狭い通路にわんさといます。
だけどそこは仮にも信者。
まだ引き続き教祖らしい(あくまでも、客観的な分析です。決して俺が認めたわけじゃあありませんよ?)俺を見ては道を開けてくれるんで楽は楽なんです。
すんなり進めます。
しかしそんなトンスラ集団の中心あたりで頑張ってるのが一人。
遠目から見てもなんかすごい気迫でトンスラたちを切り倒してるのがよくわかる方がおられます。
刀を右に左に振り回し、ばっさばっさとなぎ倒す……おおー…すっげ…撫で斬りじゃん…
…なんて…、はっ!?
もしや!
あの人が伊達政宗!?
後ろ姿しか見えないけど!
もしかして見とれてる場合じゃないかも!?
『…伊達政宗か?』
だって本当にそうだったらこんなトンスラ集団じゃ相手になるわけないじゃん!!まるっきり無駄死にだよ!命無駄にしすぎですよ!!!
いくら何でもそれは止めないと!!
そう思って慌てて声をかけたら、
「…ッ!」
振り返ったお兄さんは893でした…!
これが伊達政宗!?
怖っ!めっちゃ睨まれてるし!
もしかして俺も殺されちゃう!!?
「…舜様!!」
「舜様が我らのところへお戻りくださいました!」
「みなさん!!舜様はやはり我らをお見捨てにはならなかったのです!」
俺に気づいて893な伊達さんの奥にいる集団が騒ぎ始める。
…バ・カ・ト・ン・ス・ラ・共・がっ!!
うるさいよ!黙れよ!
危険物は刺激したらまずいんだよ!!!
なにそんな俺を全面に押し出すようなことしちゃってんの!?本当バカじゃないの!?
いくら一瞬伊達さんの意識が俺に向いて自分らの命助かったからってまだ調子のんな!
俺を生け贄にする気か!!!?
ほら!お前らがうるさいから伊達さんめっちゃ怒ってんじゃん!!顔とかすごい怖いから!
真面目にだまれ!頼むから黙って!!
お前らだって拾った命を速攻捨てたくないでしょ!!?
『……』
祈るように見つめるとなんとか静かになる。
俺の思いが通じた…??それともさすがに危機を感じとった?
…まあ何でもよし!
とにかく結果オーライ!
なんとかこのまま低刺激な感じで進めたい…!
…でもなんかまだ俺睨まれてる…?
『…違うのか?(うるさかったんじゃないの?それとも、もしかして単にトンスラが気にくわないだけとか…?それだとあんまり対処法がないんですけど…)』
…ちょっとばかり、気まずい空気が流れています…。
どうしよう…すっごい怖いんですけど…。いざとなったら俺は小太郎に助けを求めてもいいでしょうか?いつもみたいに呼んだら出てきてくれる??ああでも小太郎が危ないのも…
なんて、脳内で一人めちゃめちゃ悩みまくっていたら。
「俺は政宗様の家臣。片倉小十郎だ」
……え?
あれ…?
“片倉”さん…?
“伊達”さんじゃない?俺勘違い?
…もしかして、それで怒ってらっしゃいました?
すいません。
本当すいません。
心の底からすいませんでした!
…でもよく見れば確かに眼帯とかしてないですよね。伊達さんは独眼竜ですもんね。有名ですよね。
はい…、誠に申し訳ありませんでした。
大変失礼いたしました…。
ならば、せめてお詫びに私が本当の伊達政宗さんのところまで先導いたしませう。
だから殺さないでください。俺役に立ちますよ?
そう心で叫びつつ、試しにちょっと一歩足を踏み出します。
「…!?」
するとどうでしょう。
掃いて捨てるほど集まっていたトンスラたちがえぇこの通り。左右に分かれてすっかり道が出来たではありませんか。
さすがに自分でも気持ち悪いとは思うけども、俺がいればこんな感じでトンスラ共は道を開けますから。
不本意ながら今は教祖であることも甘んじて認めましょう。モー●香月と呼んでください。出エジ●トを再現して見せましょうとも。
これで無駄な戦闘抜きで進めます!短時間で行けますよ?
どうでしょう!?だからこれまでの無礼を許してください!
(…しかもこれ、実はトンスラたちも命が助かって一石二鳥!俺、良く考えた!)
「来な」
俺の一歩で一斉に壁にへばりついたトンスラに驚いていらっしゃる893…じゃなくてえー、片倉さん。
すっかり固まっていた片倉さんを振り返りつつ、先に立つ。
さぁさぁ、俺の後について来てくださいよ。
きっと俺のお花ちゃんも伊達さんもこの奥にいると思うのです。
だって多分もうザビーのとこまで行っちゃってるとおもうから……ハァ。
…まあ、一瞬にさくさくっと行きましょうよ!きっと大丈夫だと信じて!
驚きつつもゆっくり歩き出した片倉さんをこっそり確認しつつ、実は内心でほくそ笑む俺。
俺はたった今勝利を確信しましたよ。えぇ。
だって片倉さんという頼もしい切り札をゲットしたんですよ?
万能の小太郎と片倉さんが揃ってるんですよ?
こんな二人がいたらなんかもう怖いもの無しじゃない?
俺なら片倉さんに睨まれただけでも大体は言うこと聞いちゃうね。怖いし。
…てことで、
首を洗って待ってやがれよザビー!!
お前の悪行もこれまでだぜ!!
キリスト教徒の方がいらっしゃいましたらすいません。
全然本当に侮辱とかじゃないですので!
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