女王バチ16匹目





やあ皆さん!!

今日はちょっとテンション高めでお送りしている香月です!


だって今日は元就が帰って来る日だよ!

俺のお花ちゃん!この日が待ち遠しかったぜ…!


それに元就が帰って来るってことは、例の伊達さんとも会えるかもしれないってことじゃん。

ちょっとドキドキしてきたわー……いきなり、斬られたりしないよね…?
さすがにそれはないよね?来ないことはあってもさ?


うぅ…まあそんな感じで九割方はうきうきした気分で小太郎と過ごしていたところ、なんだか焦ったような足音が近づいてきて…俺の部屋の前で止まっちゃったんですよ。


「失礼いたします!」


ものすごい慌てた様子の元就の部下の人が、ものすごい平身低頭して報告をしてくれました。

その人の話によると、予定通りに帰港しようとした元就たちの船に近づいてきた船があるらしい。

それがなんと例のアレ。

俺の中の忌まわしき記憶。

存在その物がストレス、常に逆鱗の変態。

不愉快極まりない笑顔映像を勝手に俺の脳裏に刻み込んだ物体。


ザ・ビ・ー・!!


ありえん…脱出して以来静かだったからもう諦めたと思っていたのに…!
しつこいおっさんだぜ!まったく…

今は怒った元就が大砲で迎撃してるらしいけど、そのせいで帰りが遅くなるかもしれないんだってさ。


…あのハゲ野郎、何一つ良いことねー!
欠片も世界の(てか俺の)役に立たねぇよ!!

なに元就の邪魔してくれちゃってんの!?
感動の再会を無駄に先延ばさせてんじゃねぇぞこら!!


あぁ…今までのイライラが沸々と甦る…。
走馬灯のように奴の腹立たしい顔が繰り返されるぜ……チッ!!


『小太郎』


「……」


立ち上がればさっと出口の襖が開く。
小太郎が道案内がわりに開けてくれてるんだろう。


「…香月様…?」


『迎えに行く』


お花ちゃんが危ないし。万に一つ、二度もザビー教なんていかれた集団に元就が負けるなんてことになったらトラウマになりかねないじゃん!
俺のせいで元就にそんな瑕を残すわけにはいかないよ。

何より、あの諦めの悪いハゲ野郎には俺のこの手でがっつり引導渡してやらなきゃ気が済まねぇ…!

ふふふ…


なんてちょっぴり不穏な考えを持って進む廊下では、さっきと同じように次々襖や障子が開く。
久しぶり…というかこの城に来た時以来初めての外出ですから。ええ。正直この道案内は助かります。

さすが小太郎。
俺のことよくわかってるね!


まあこんな調子ですから、当然門に着けば馬が用意されてるわけですよ。何にも言わなくても鞍も手綱もついてますとも。

そりゃあ綺麗な栗毛で、頭の良さそうな目をしてます。俺の方をじーっと見ています…。

…なんかちょっと小太郎みたい。
いや小太郎の目は隠れて見えないけどさ?
たてがみとか赤っぽいし、大人しいし、賢そうだし。

きっとこの子なら初心者の俺でも乗せてくれるような気がする!
優しい気がするって。ね?


変な確信とともに跨ると、やっぱりなんか良い感じに走ってくれます。曲がりたいと思えば曲がってくれるし、スピードあげたいと思えばあげてくれるし。
やっぱり馬でも小太郎に似てるだけあってよく出来てる…。

ありがとう小太郎(馬のほう)!!


馬のほうの小太郎の優秀さに調子に乗ってガンガン速度をあげて港に向かいます。
人のほうの小太郎は忍だし万能だからもちろんちゃんとついて来てくれるよ?

それにしても港までの道を完璧に覚えてた俺、なにげにすごくない?
ありがととう天帝さま!俺初めていただいた能力を有効活用できた気がします!

待っててねお花ちゃん!今行くよー!!




(…中略…)




はい!!というわけで船につきました!

もちろん元就の乗ってた方ですよ?
小舟を寄せたりそっから乗船したり結構大変だったんです。
ものぐさな俺がすごい頑張りましたよ。めっちゃ動きましたよ。
いやはや、愛(?)の力は偉大だね。


ところで、この船は元就が乗って“た”方です。

…過去形です。

今はいないのです。


…心の中で百回くらい感嘆符と疑問符を発したけど、起こってしまったことは変わりません。はい…。


成り行きはこんな感じ。

徐々に距離を詰めてくるザビー船。これがまたムカつくくらい頑丈でしてね、大砲なんか効かないんですよ。
なにしろこの外来船は総鉄板造りの近代戦艦。しかもゲーム仕様でいくら打ち込んでもびくともしないというたちの悪さ!近づいたところで当然弓矢なんか効きゃしない。

それに業を煮やした元就は、単身敵船に乗り込んでザビーの首を取りに行っちゃったんだってさ!


お花ちゃんはそんな危ないことしたらいけません!!!

怪我でもしたらどうするのさ!?


それだけでもショックで気が遠くなりかけたっていうのに、それを知った伊達さんまでザビー船に移っちゃったらしいんですよ!

てめ君主ー!!そのフットワークの軽さは不味いでしょー!?来てくれたのはありがたいけどさ!?自重しろよ!こんなんでよそんちの殿様が死んだらどうしたらいいのさ!??

戦争とかほんと勘弁ですから!


というわけで!
半強制的に俺もザビー船に向かいます!
ヤケクソです!

だっていろいろ心配だからね!
頼むから二人とも無事でいてよ!?

ザビーはまじで消す…!





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