私を選んでいただけますか





となりでにこにこに上機嫌な男の人…いや、人たち。

人の不幸の何がそんなに嬉しいのか。


「本当にちっちゃくなっちゃったんだね大輔ちゃん」


オレンジ色の髪をした人。猿飛さんが、買い物かごを持ったまま、右隣で笑う。


「風魔殿が抱えて来たときは何事かと思いましたぞ」


言いつつも、スキップでもしそうな雰囲気の左隣、真田さん。
結局風魔さんの後で自分も抱えたがったくせによく言う。


『…それで…?なんで俺は真田さんと手をつないでいるんですかね…?』


現時点での俺の記憶によれば、おそらく俺は十歳で。
こんな風に大人と手をつなぐ年ではないと思うのだが。


「あっ!!ダンナいつの間に!?」


「今まで某が手を引いてもらっていたのだ!今度は某が大輔殿をお守りいたす!」


…真田さん、大人なのに今まで歩く時に手をつながれてたのか?未来の俺は何を考えてんだ。

と、思ったが、どうやら少し前まで真田さんたちも子ども姿だったらしい。

…少し、ほっとしたのは誰にも言いたくない。


「ずるい!じゃあ俺様も大輔ちゃんと手ぇつなぐ」


「なっ!?佐助は買い物かごを持っているではないか!」


「まだ左手が空いてるから平気ですー!」


「卑怯だぞ!!」


「どこがっ!?」


俺の意見はまるで無視か。

人の頭上で言い争っている二人だが、言いながらちゃっかり俺の手を掴んでいるところは同じじゃないか。

立ち止まって騒ぐもんだから他の客には振り返られるし、迷惑そうな顔までされる。
スーパーでここまで悪目立ちしたのは初めてだ。


これじゃ“大人”が聞いて呆れるな。





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