訪問四ヶ月後4





「大輔!!」「大輔ちゃん!!」


絶叫と共に、扉が壊れんばかりの勢いでなだれ込んでくる政宗と佐助。
既に元のサイズの二人だ。実際扉は壊れかねないが。
むしろよく同時に扉をくぐれるものだと、感心しないでもない。


「竹中が大輔のtypeってのは本当か!?」


「ウソだよね!?ウソって言って大輔ちゃん!!!」


黒いオーラを立ち上らせながら詰め寄ってくる二人に、何と言ったものかと黙り込む。
そのまま言葉を選んでいると、


「その質問、オレが答えてやるぜ!」


「「「!!?」」」


開けられたままだった扉から、再度盛大な声が聞こえる。もし俺の部屋が体育館くらい広ければ、それだけの声量も必要なのかもしれないがな。

半兵衛を含めた三人の視線が扉に集中する。それを不自然な程楽しそうに受け止める――俊基…。


『…なんでここに?』


「大輔が定期的に智彰の途中報告見せろって言ったんだろー?」


…確かに、俊基に持ってくるように頼んでいたのを忘れていた。だがそれにしても間が悪すぎる。はかっているのかと疑ってしまいそうだな。

俊基の口調は心外だと言わんばかりだが、顔がいやに輝いているのが不安だ。


「大輔ちゃん本人がいるのになんでアンタに聞かなきゃなんないのさ」


「バカ、だって大輔だぜ?めちゃめちゃ曖昧かすっごい遠回しな答えに決まってんじゃん!」


あまりそりが合わない俊基の登場に、あきらかに不満そうな声があがる。
だが、今だって言葉を考えていただろうと指摘され、その佐助たちの構えがぐっと揺らいだ。


「やさしい大輔がお前らの傷つくような事言うと思うか?」


「…十中八九、言わないだろうね」


半兵衛の信頼してくれているだろう発言は嬉しいが、傷つくことは前提なんだろうか。


「だろ?でもオレなら直球できっちり答えてやるぜ」


「そりゃそうだろうがな、何でテメェが大輔の答えを知ってんだ?」


「あのなぁ、オレは大輔の幼なじみかつ右腕だぞ?ホクロの数まで知ってるっつの」


…まぁな。俺も俊基の事なら大概わかるかもしれない。

政宗の尤もな質問もすぐさま返され、三人はじりじりと俊基の提案に乗りかけているようだ。お互いにちらちらと目配せをしあう。

悪い流れを断ち切らなければと、あまり混ざりたくはないが仕方なく会話に口を挟んだ。


『…待て。三人ともよく考えてみな』


「大輔ちゃん…」


『そもそも俺の好みなんか知ってどうするんだ』


「ほら!こんなこと言うんだぜ?素直にオレに聞いときな」


どうだと言わんばかりに胸を張る俊基。
悩んでいるのか全員揃って腕を組む三人。

にやにや笑っている俊基を睨んでみるが、流石にこいつには通じない。本気で怒る程のことではないから仕方ないが。


「…OK」


『政宗…?』


「決めたぜ。オレは俊基の話を大輔と一緒に聞く!」


……うん?


「確かに…それが一番いい手だろうね」


『半兵衛?』


「やっぱり鵜呑みにはできないけど、大輔ちゃんの反応を見ながらなら…客観的な意見も聞いてみたい、かな?」


『……佐助』


皆、意外とちゃっかりしている。へらりとした顔でこっちを見てくるが、俺にどう反応してほしいのか。

それとも、それで俺が大抵のことを許すから、俺を見ると笑うのがもう癖になっているのだろうか。


そう思い、ついに目を瞑って嘆息する。
それを見て俊基が満足気に言った。


「よーし!大輔が折れたな」


言って嬉しそうにするから、結局計算にはまっているとわかっていても許してしまうのだ。しかも毎回そうだから始末が悪い。俺も大概甘やかしていると思う。

…俊基を含めて。


「なら下行こうぜー。ほかの奴らにも教えてやろう」


俊基が言い、三人に腕を引かれて部屋を出る。
この後は間違いなく騒がしくなるだろう。最近は随分静かになっていたと思っていたのだが。
恐らく今日は夕飯の支度もできないだろう。

…まあ、俊基が来た時点で、もはやなんの期待もしてはいなかったがな。





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