中学生たちが増えました4





「………」

「………」



流れる沈黙。


広がる家中の水気。


佐「……どうする?」

政「…どうするもこうするも…なあ?」

半「もう、これ以上はかわかせないよ…」


散乱する空の水鉄砲と雑巾。

フローリングはともかく、今もまだ湿っているカーテン、絨毯、ソファ諸々。


政「だれだよ、こんなもんはじめたやつは…」

親「…おめぇがいえんなかににげるからわりぃんじゃねえか」

政「…んだと?」

親「なんだよ」

就「やめよ、ばかどもめ。いまさらおそいわ」

半「そうだよ、おわってしまったことはしかたがない」


始まりは元親が政宗に仕掛けたが、舞台を移したのは政宗。

だが打ち合いながら家中のみんなを巻き込む事態に発展したのは成り行きだ。

全員間違いなく同罪だろう。


幸「……だいすけどのは、やはりおこるだろうか…」


うっすらと青ざめた顔で幸村が呟く。


政「…こじゅーろがだいすけがおこるとしぬほどこえーっていってたぜ」


再度沈黙が戻ってくる。

今まで見たことはないが、あの竜の右目がそこまで言い切れるのかと思えば恐ろしい。佐「…ダンナにちりんでなんとかできない?」

就「むりを言うな。いくらわれでもそんなことはできん」

親「つかえねえなぁ」

就「なっ?!きさま…!!」

幸「このゆきむら、だいすけどのにだけはおこられたくないでござるっ!!!」

佐「わかったからさけばないでねー、ダンナ。おれさまだってそんなのごめんだよ」

政「だからこうやってかんがえてんだろーが」

親「あっ!‘どらいやー’でかわかすってのはどうだ!?」

就「たかむこがつかってくれるあのからくりか?」

親「あれはかわかすどうぐなんだろ?ちょうどいいじゃねえか!」

政「Good!!それでいこうぜ!」

半「なら、いそごう!じかんがない」


大輔・小十郎・小太郎の三人が買い物に出かけたのが二時間前。

もういつ帰って来てもおかしくはない。

半兵衛の言葉に佐助がすぐさまドライヤーを取ってきた。




その数分後…




政「すこしはかわいてきたか?」

親「おう!いいかんじだぜ!」
幸「もとちかどの、もっとちかづけたほうがよいのではないか?」

親「んじゃ、やってみっか」

見よう見まねでドライヤーを使いつつ、全員でそれを見守る。


就「…まて、こげくさいぞ」

半「もとちか!それをはなすんだ!」

親「!!」


慌てて絨毯からドライヤーを離す。


しかし時すでに遅し


佐「…あちゃー」

政「やっちまったな…」


乾くどころか一部茶色く焦げてしまった。


佐「もうちょっときをつけてやってよ!ひがいふやしてどうすんのさ!!」

親「わかってるっつうの!かげんがむずかしいんだよ!」

政「かせ!オレがやる」


ドライヤーをひったくる政宗。


就「うまくやるのだぞ!」

政「まかせな!」




だがその後も焦がしては交替を繰り返し、結果的には変色箇所が増えただけ。




幸「ど、どうしたら…!?」

政「…とりあえず、さなだはうえにでもすわっとけ」


言われた通り大人しく焦げた部分に座る幸村。


半「…もうすなおにあやまった方がいいんじゃないかな」

佐「たしかに。それが一番かもね」

半「だいすけにはおこられると思うけど」

政幸佐「「「…………」」」

親「…もとなり、ちりゃくでなんとか…」

就「ならん」

親「………」











「…この、馬鹿ガキどもがぁ!!!」


しばらく後、広がる惨状にぶちきれたのは大輔ではなく小十郎だった。


「てめぇらそこに直りやがれっ!」



佐「(だいすけちゃんは!?)」

親「(おこってはいねえいみたいだ!…たぶん)」

就「(…たかむこはむひょうじょうでよくわからん)」

「なに、ごちゃごちゃ話してやがんだ!!」

「…!!」

政「(こじゅーろのはこごとなげぇぜ…)」

半「(…でもだいすけじゃなくてよかったんじゃないかい?)」


こそこそと頷き合いつつ、全員で始まった説教に身を竦ませるのだった。




幸「(かたくらどのもじゅうぶんこわいでござるぅう…!)」


会話文が多めの文です。
こういう方が武将が出ばっていいかも…?

但しギャグっぽいのは無理だということは判明しました…





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