訪問一週間以内5





佐助と半兵衛に手伝ってもらいながら夕飯をつくり、そして片付けた。
子供ながらにかなりの量を食べるのがいることが発覚し、買い物は毎日行く必要がありそうだと痛感する。

生活リズムが変わる音が聞こえたような思いだ。

「だいすけ!」

想像に気がとられていたところに声がかけられる。
この家の風呂は広いのでまとめて入らせたのだが、早速元親が上がったらしい。

『…服は着てこいよ』

湯が熱すぎるとこぼす子供は短パン姿で、上を着ていない(一応手に掴んではいるが)。そこまで熱くはなかっただろうと思うが。

「なんかめんどくせえよ、これ」

渡してあったのは前をボタンで留めるシャツタイプの寝間着だ。頭からかぶるだけの物にすれば良かったのか?
それだけの問題ではない気もするが、とりあえず着せてやろうと手招きする。

…近づいてきた元親は髪もまだ滴が垂れている有り様で。

『風邪がひきたいのか?』

受け取った上着は一度ソファに置いて、先に首に掛けられたタオルを持つ。

「だいじょーぶだって。いつもこんなかんじだしな!」

『全然大丈夫じゃねぇから』

髪を拭いてやりながら、呆れた。
確かにそうだが今は夜だしここは関東、慣れた気候とは違うだろうに。大体、湯冷めは慣れるとかではないはずだが。

途中で服を着せ、ボタンも留める。
…外見につられてつい子供扱いしてしまうが本人達はいいんだろうか。

「なぁ、みずかなんかあるか?」

髪を拭く作業を再開した頃、特に不満ではなさそうな元親が聞いてくる。

『水もあるし他もあるぜ』

「ほか?」

きょとんとする元親の髪を確認し、あらかた乾いたことを確かめてから、台所に移動する。濡れたタオルは適当にかけて冷蔵庫を開けた。
中には茶や牛乳、ついでにオレンジジュース(この辺りはやはり子供扱いしてしまっているのだが)。水は元々ウォーターサーバーを使っているから冷蔵庫の隣りに設置してある。

「…のめんのか?」

『水にしとくか?』

容器ごと机に並べてみたが食いつきはいまいちだ。片手でコップを遊びながら結論を待つ。
確かに結構すごい色かもな。

「だいすけ!」

廊下を走る音が近づいてくる。
ぽつぽつ、他の子供も上がり始めたようだ。

「なんだそれは」

『味見してみるか?』

人数がいるならと一杯ずつコップに注ぐ。回して飲ませることにした。

「…うまい!」

「おいしいでござる!!」

「われは茶がよいぞ」

「オレもだな」

「ぼくはこれ、わりと好きだよ」

「やっぱみずがいちばんじゃない?」

口々に感想を述べて自分の分を確保しだす。中には二杯目を注ぐ手もあるようだ。

ジュースは幸村が、牛乳は元親と意外にも半兵衛が気に入ったようだ。きちんと両手で持って飲む姿が可愛らしい。
自然に手を腰に当てている元親の方が似合うと言えば似合うが。


しばらくガヤガヤしていたが、コップを手にして急に子供らは散って行く。それを眺めつつ、改めてその元気さに驚かされた。
家の中がやけに賑やかになったと感じて、本当に自分がこの生活に慣れるのかと思う。


今更だったが、鈍い頭痛を感じていた。





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